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2008年08月08日(金) 13時30分

食品の国際規格を決定するコーデックス委員会の謎R25

先日、トマトの新国際規格が7年もの論争の末に決定した、というニュースが報じられた。じつは、国際規格があるのはトマトだけではない。なんと、現在293(!)もの国際食品規格が決められているのだ。砂糖やバターといった食材をはじめ、缶詰から冷凍食品まで、その内容は多岐にわたる。

規格を作成しているのは、コーデックス委員会という国際的な政府間機関である。メンバーは、総勢176カ国とEC(欧州委員会)の代表で、何年も議論を重ねて規格を決定しているという。その目的は、「消費者の健康の保護」と「公正な食品貿易の確保」。つまり、食品安全に関する一般的な規格と個別の食品の品質や表示に関する規格のふたつが柱になっている。食品安全については、データに基づいてリスクを議論するので各国間でもめることは少ないが、問題は個別の食品規格を決める場合である。これが大論争に発展するというのだ。

「自国にとって重要な輸出品なら、その食品を守る国際規格を作りたいですよね。たとえば、“これが本物のカマンベールチーズだ”という規格を作って、それ以外は輸出入時にカマンベールチーズと表示させないようにしたい。ブランド価値を損なわれたくないわけです。日本でも、伝統的な醸造醤油を国際規格にしようと提案したことがありました。ところが、アミノ酸醤油という、アミノ酸液を加えて発酵させない醤油を作っているところもあって、それも醤油の規格に入れろと他国から横やりが入ってくる。醤油ドレッシングも醤油じゃないかとか(笑)。これでは何でも醤油と表示していいことになってしまうと取り下げました。そんな国同士の思惑がからむので、必ずしも思い通りにはいかないし、時間もかかるんです」(農林水産省 消費・安全局)

それでは意味がないような気もするが、提案した国の主張が多数の賛同を得られなければ、実際その通りらしい。各国の思惑とやらで適切な規格が通らないのならば、ちょっと悲しい事態である。
(R25編集部)

※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです

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