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2008年08月07日(木) 12時21分

ビールを飲めない若者が増える中、甘いビールが増えているダイヤモンド・オンライン

 まずはキンキンに冷やしたビールを一杯! これが夏の風物詩——だったはずだが最近のビールの傾向をみるかぎり、そうはいえないようだ。

 まず、ビールが苦手という若者が増えている。酒席での最初の一杯もチューハイやカクテルで、となる。なぜビールが苦手なのかといえば、最も多い理由が「苦いから」らしい。では苦くないビール、別の味がするビールならば大丈夫なのだろうか?

 レモンやチョコレートなどの味(フレーバー)をつけたビールは以前からあったが、この数年で注目度が高まり「フレーバービール」という呼称もほぼ定着した。ビールをベースとしたカクテルにも関心が寄せられている。

 さらには「スイーツビール」と呼ばれるものまで登場した。例えば神奈川県の地ビール会社、サンクトガーレン(有)は昨年からスイーツビールを売り出している。バニラビーンズの甘い香りの「スイートバニラスタウト」、黒糖を使った「黒糖スイートスタウト」の2種で、いずれも黒ビールである。もともと黒ビールはカラメル感が強く「甘い」と感じられる。日本のビール党の間では好き嫌いが分かれるところだが、甘みとの相性は悪くなさそうだ。

 キリンビールが昨年発売した「一番搾りスタウト」も黒ビール。当初は「香ばしさとコク」を前面に押し出していた。だが、そうしたベーシックな楽しみ方に加え、ここへきて「フローズンスタウト」のレシピをサイト上に公開したのだ。要は黒ビールにガムシロップを加え凍らせたものなのだが、この夏を機に甘くほろ苦い大人のスイーツとして定着するかもしれない。

 これらの「甘いビール」はいずれも、豪快に飲み干すというより、ゆっくりと味わうことに主眼が置かれているようだ。ビール離れの鈍化に貢献することがあっても、夏の風物詩としてのビール復権にはつながらないかもしれない。いささか寂しいことではある。しかし、もともとアルコールへの耐性が強くない日本人にとって、各々が自分のスタイルで「まずは一杯」する傾向が広がることは悪いことではない。

(工藤 渉)

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