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2008年08月07日(木) 22時43分

<裁判員制度>野党内で来年5月実施への慎重論広がる毎日新聞

 刑事裁判に一般の人が参加する裁判員制度を巡って7日、野党内で来年5月実施への慎重論が広がり始めた。共産党の市田忠義書記局長は同日、国会内の記者会見で「国民の理解が得られていない」と延期を求める方針を表明。社民党もこの日、「延期も含めて再検討すべきだ」との見解を発表した。民主党の鳩山由紀夫幹事長も横浜市内の記者会見で「もう一度、党内で議論する必要がある」と指摘した。臨時国会で論戦のテーマの一つとなりそうだ。

 裁判員は有権者から無作為で選ばれる。原則として辞退はできず、裁判に参加するため最短でも3日間は仕事を休むことになる。今年初めに最高裁が行った意識調査では、「あまり参加したくないが、義務なら参加せざるを得ない」44.8%、「義務でも参加したくない」37.6%と、国民の間に広がる消極姿勢が浮き彫りになっている。

 制度の根拠となる裁判員法は、04年に全会一致で成立した。共産、社民両党は当時「国民の司法参加促進」の観点から賛成したが、「実施の条件が整っていない」と慎重姿勢に転じた。その理由として(1)国民の合意不足(2)裁判員の守秘義務など負担の重さ(3)裁判期間短縮で被告に不利な裁判になる−−などを挙げている。

 一方民主党は、共産、社民両党ほど姿勢を明確にしていない。鳩山氏は7日の会見で「民主党が(裁判員法に)賛成した事実は事実」と指摘。「細部を修正し(予定通りの)実施に導いていけるのか、考えていく必要がある」と述べた。【田中成之】

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