記事登録
2008年08月06日(水) 13時32分

我輩はトカゲ君であるオーマイニュース

 我輩はトカゲ君である。神奈川県伊勢原市は、日向薬師を住まいとする者である。

ほかの写真をみる

 姿は若いが、100の齢を重ねた者である。なめたらいかんぜよ。

 高野真言のありがたいお経を聞いている内に、年をとらなくなったらしい。

 おかげで壮年期前までの鮮やかさが残ったままである。

 尻尾のブルーがきれいでしょ。ふっくらとした手足が赤ちゃんみたいで可愛いと言ってくれる人もいる。いや〜、照れるね。

 不動明王の霊験は授かっていないが、人の言葉ぐらいは解るようになってしまった。

 夏は我輩の季節である。ご馳走だらけの夏である。

 ハエ、クモ、蚊、ガガンボ、あまり努力せずとも、ご馳走の方から進んでやってくる。ミミズもダンゴムシも油が乗って美味しい季節じゃ。

 近年参拝者の声を聞いていると、人間のご夫人方は虫が大嫌いになっている様子である。

 「やだーっ、虫が…虫が…」
 「私、ほかのものは大丈夫でも虫だけは駄目なの」
 「ギャー、く、クモの巣が顔に……。 蚊が来たわ、嫌ーっ、いっぱいいる〜。 怖い〜、今度は大きな蜂よー」
 「私って、節のある生き物が生理的にダメなのよね」

 うるさい限りである。まるで我輩が粗末なものを食っているみたいじゃないか。

 我々小動物は数が多い。そして自然の動物界を底辺で支えておる。

 ところが自然に人間の手が及ぶと我々は一気に死滅させられてしまう。

 生きる場所がなくなってしまうだけではい。再生の場所が消滅し、そこの住人の遺伝子は途絶えてしまうのである。

 それでいて、鳥や哺乳類は保護が叫ばれる。差別であります。

 昨年は、長年一緒に生きてきた姉が百舌(モズ)に食べられてしまった。悲しかった。車に引かれた仲間も大勢いた。

 昆虫や、蛙や、我々蜥蜴(トカゲ)がどんなに残酷な死に方をしようが人間は無関心、まるでムシケラ扱いじゃ。

 あっ、蛙や我輩も、虫偏(ヘン)じゃった。仕方がないか。トホホ。それでもみな一生懸命に生きておるのじゃ。

 近年、人間界では、自然保護とエコブームの様である。エネルギー大消費型産業でも、製品にはエコのうたい文句を入れる。消費者はそれを手に取る。

 自然保護活動をしておるご婦人のご主人はゴルフ三昧ということもよくあるようじゃ。

 たかが遊びのために、数十億匹以上もの虫や小動物が死滅させられ、サイクルの場所を奪われてしまった。これには、鳥たちも泣いておる。

 虫の世界を理解せずして、自然保護を語るやつらは、みな偽者じゃ。そこにどんな草木が生えているのかも興味がなくてやっておる。

 いやいや、このような事で激昂するのはやめておこう。

 最近、人間の世界では、政治に腹を立てている内に体を壊してしまう庶民が大勢いると聞く。

 我輩も同じ落とし穴に嵌らぬように心がけようではないか。

 おっ、可愛い娘がやって来た。ジューシーなハエでもプレゼントするか。夏は恋の季節でもある。それでは皆さん、これにて失礼いたしまする。

(記者:大村 賢三)

【関連記事】
大村 賢三さんの他の記事を読む
【関連キーワード】
自然
トカゲ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080806-00000001-omn-l14