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2008年08月05日(火) 20時03分

マンホール事故 雨で急に増水…5人流され1人死亡毎日新聞

 5日午後0時20分ごろ、東京都豊島区雑司が谷2の下水管工事現場の地下マンホール内で人が流されたと110番があった。5人の男性作業員が流され、そのうち1人は約1時間後、約3.5キロ離れた文京区後楽の神田川で発見されたが意識がなく、死亡が確認された。警視庁捜査1課と東京消防庁は残る4人の行方を捜すとともに、安全管理に落ち度があった可能性もあるとみて関係者から事情を聴いている。

 亡くなったのは「北立建設工業」(千代田区東神田)の大島浩さん(49)=埼玉県三郷市高州2。

 行方不明になっているのは、いずれも「橘技建工業」(足立区東伊興)の▽浜田彰さん(29)=埼玉県草加市▽寺井誠さん(44)=足立区▽松尾隆治さん(31)=同▽遠藤博昭さん(38)=同=の4人。

 調べでは、流された5人を含む作業員は老朽化した下水管を補強するため、管の内壁に樹脂を張り付ける作業をしていた。工事は都下水道局が発注し「竹中土木」(江東区新砂)が受注。北立建設が下請け、さらに橘技建が孫請けしていた。工区間の下水管の長さは598.75メートルで工期は11月30日までの予定だった。

 警視庁などによると、流された5人を含む計6人は午前9時ごろからマンホールを通って地下約3.2メートルの下水管内に入り込み作業をしていた。地上には監督や連絡役として3人が待機。当初、水量はひざ下30センチほどでひざまで達した時点で中断する予定だったという。6人はマンホールを開けた状態で作業を続けていた。

 雨が降り始めたのは午前11時半ごろ。下水管内の水量に変化はみられなかったが、同11時40分ごろから雷雨が激しくなったため、監督役だった現場責任者の男性(58)がマンホール内に向けて「上がれ」と6人に大声で指示を出した。

 しかし、水量は既に腰のあたりまでに達しており、1人はマンホール内のはしごをつかんで自力で脱出したものの、5人はそのまま流されたという。現場付近では正午から午後1時までの間、65ミリの大雨が降っていたという。

 脱出した男性作業員(25)は警視庁の調べに「鉄砲水みたいに急に水が流れてきた」と証言。雨の影響で急に増水し、残る5人は逃げ切れなかったとみられる。

 警視庁などは現場周辺の22個のマンホールを開けて4人の行方を捜すとともに、安全管理などについて慎重に調べを進めている。下水管は神田川や荒川区の三河島水再生センターなどに通じている。

 近くに住む男性(80)は「空が真っ暗になって雨が降り始めたかと思うと、突然激しい雷雨になった。雷雨は30分以上続き、テレビの音も聞こえないぐらいだった」と話す。

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