2008年08月03日(日) 01時48分

＜万引き追跡店員死亡＞車、数十メートル引きずる　内臓損傷（毎日新聞）

　札幌市北区の釣具店で２日未明、万引き犯を追った店員の迫田寛之さん（２３）＝同区太平５の１＝が車にひかれて死亡した事件で、現場の路面には少なくとも数十メートルにわたり迫田さんを引きずったとみられる跡のあることが分かった。同日の司法解剖で、迫田さんの死因は胸を圧迫されたことによる内臓や血管の損傷と判明。骨折個所も複数認められた。道警は車に乗った万引き犯が追い掛けてきた迫田さんをひき、そのまま引きずって逃走したとみて強盗殺人容疑で、事件直前まで店内にいた２人組の男の行方を追っている。

　事件は２日午前２時３５分ごろ、北区太平５の１の釣具店「フイッシュランド太平店」で発生。当時、店内には迫田さんともう１人の男性店員（２８）、２０歳前後とみられる２人組の男がいたが、男性店員が奥の事務室で休憩していたところ、「待て」という迫田さんの声が聞こえたという。同５０分ごろに来店した男性客が店から約２００メートル離れた路上で倒れている迫田さんを発見したが、２人組の姿はなく間もなく迫田さんの死亡が確認された。

　道警による司法解剖の結果、迫田さんは胸を圧迫されて肺や心臓、血管などを激しく損傷していたほか、ろっ骨や鎖骨が複数折れ、服や皮膚には引きずられた跡があった。また、店から３０〜４０メートル離れた路上には釣りざおや釣り糸が散乱。向かいのスーパーの駐車場にはリールが落ちており、さらに釣りざおから約５０メートル離れて迫田さんの靴があった。また、そこから迫田さんが倒れていた約１００メートル先までの路面には、引きずったとみられる跡が数十メートル残っていたという。

　道警は、店内にいた２人組が釣り道具を万引きし、迫田さんに追われて盗品を落とし、車に乗った後も追いかける迫田さんをひき、そのまま引きずって死亡させた可能性が高いとみている。道警は２日午後、店から迫田さんが倒れていた地点までの一帯を実況見分し、現場の状況を調べている。

　２人組は１人が身長約１７０センチでやせ形、黒縁の眼鏡をかけ、白いハンチング帽をかぶっていた。もう１人は身長約１６５センチで中肉中背、Ｇパンを着用。右腕に刺青が入っていたという。【木村光則、水戸健一】

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