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2008年08月03日(日) 09時21分

児童の個人情報流出が続出 都内の公立校、都教委が厳罰化へ産経新聞

 東京都内の市立小学校教諭が、児童の成績や住所録など個人情報が保存されたUSBメモリーなどが入ったバッグを盗まれていたことが2日、分かった。教諭は帰宅途中で、バッグは車の座席に置いていた。都内の公立学校では、児童・生徒の個人情報を教職員が学校外へ持ち出して紛失する事故が続出しており、今年は例年の2倍以上のペースで事故が起きている。事態を重視した都教委では、情報セキュリティー対策を策定したほか、新たに懲戒処分の中に「個人情報の不適切な取り扱い」を新設し、特に悪質な場合には、免職とする処分量定を定めるなど厳罰化に乗り出した。

 関係者によると、市立小学校教諭は今年7月、帰宅途中にレストランに立ち寄った際、担任するクラスの児童の住所録や成績が保存されたUSBメモリーのほか、児童を写したデジタルカメラ、教務手帳などが入ったバッグを盗まれた。バッグは車の座席に置いていたという。

 都教委によると、こうした個人情報の盗難や紛失事故は平成17〜19年度まで10〜13件の間で推移。しかし、今年度はわずか4カ月の間にすでに11件と深刻な事態となっている。個人情報が入ったUSBメモリーやパソコンを入れたバッグを電車内や飲食店などに置き忘れる不注意が目立つという。

 4月には、都立墨田川高校の男性教師(56)が、自転車で出勤途中に卒業生計645人分の名前と性別が入力されたUSBメモリーを紛失。5月には、区立小学校教諭が帰宅途中に飲酒後、児童の名簿や通知票の所見が入ったバッグをなくした。

 都教委では対策として、昨年12月には「都立学校情報セキュリティ対策基準」を定め、指導記録や進路希望調査のほか、児童・生徒の個人写真、健康診断表や歯の検査表など個人情報の持ち出し禁止を決定。さらには個人情報を含むメールの送信や学外で児童・生徒の情報を話題にした会話も禁止した。

 特に紛失が多いUSBメモリーについても、校外に持ち出す際は複数で運び、鍵付きのケースに収納するなどの措置を取らなければならないとしている。

 さらに、セキュリティー対策基準を受けて、都教委では、新たに懲戒処分の基準に「個人情報の不適切な取り扱い」区分を新設。▽無許可で持ち出したり、過失による個人情報の盗難や紛失は、停職・減給・戒告のいずれか▽職務上や職権乱用で知り得た個人情報の不当利用は最も重いもので免職−などと規定した。

 都教委は、全教員を対象に個人情報管理の研修を実施。「自己点検票」を配布し、意識レベルを細かくチェックしているが、「個人情報保護に対する教員の意識が必ずしも高くない」と分析し、個人情報管理の厳格化が必要と判断した。

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