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2008年08月03日(日) 02時30分

<PCI>今週前半にも強制捜査へ ODA贈賄容疑毎日新聞

 ベトナムでの政府開発援助(ODA)事業を巡る贈賄疑惑で、ホーチミン市幹部が大手コンサルタント会社「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI、東京都多摩市)に対し、受注額の15%を提供するよう要求していたことが分かった。交渉の末、最終的にPCIは約10%に当たる計3億円近くをこの幹部に渡したとされる。PCI関係者は、東京地検特捜部に対し「受注の見返りだった」と説明しているという。

 特捜部は、外国公務員への贈賄を禁じた不正競争防止法に違反する疑いがあるとみて、今週前半にも、PCI前社長の多賀正義被告(62)=詐欺罪で起訴=ら数人について、強制捜査に踏み切る方針を固めた模様だ。

 関係者によると、PCIは円借款によるホーチミン市内の高速道路やトンネル工事「サイゴン東西ハイウェイ建設事業」の受注を目指して、01年2月ごろ、日本の市役所にあたる事業実施機関「ホーチミン市人民委員会」の幹部に初めて接触した。幹部はPCIに受注させる見返りとして、受注額の15%の資金提供を繰り返し要求したという。

 これに対し、PCI側は減額を求め、10%前後を提供することで合意。PCIは同事業を01、03年度に計約30億円で受注しており、この幹部に渡った資金の総額は3億円近くに上るとみられる。

 特捜部は、このうち03年12月に提供された約60万ドル(約6400万円)と06年8月の約20万ドル(約2300万円)について、同法違反の疑いで捜査しており、06年分の資金提供については、多賀前社長が了承したとみている模様だ。

 外国公務員への贈賄が、これまで立件されたのは、福岡区検がフィリピンの国家プロジェクト参入を巡って贈賄した九電工(福岡市)社員を略式起訴したケースしかない。収賄側を罰する規定はない。

 【ことば】外国公務員への贈賄禁止規定 経済協力開発機構(OECD)が97年、「国際商取引でのわいろが経済発展を阻害している」として外国公務員贈賄防止条約を策定。日本も署名し、98年に不正競争防止法に規定を加えた。04年には日本人による国外での贈賄も罪に問えるよう改正された。違反すると5年以下の懲役または500万円以下の罰金。両罰規定として、法人にも3億円以下の罰金が科される。

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