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2008年07月31日(木) 15時01分

<薬事法違反>しわ取り薬無許可販売 医師対象に6億円毎日新聞

 しわ取りなど美容整形で使われることが多い医薬品「ボトックス」などを無許可で医師らに販売していたとして、警視庁組織犯罪対策1課が、医薬品輸入代行業者ら韓国籍の男2人を薬事法違反(無許可販売など)容疑で書類送検していたことが分かった。医師に医薬品を販売した業者が同法違反で摘発されたのは初めて。美容整形のブームで美容外科医らの需要が増す中、販売許可を得るには時間がかかるという事情があったとみられる。【武内亮】

 書類送検されたのは「FORCLINIC(フォークリニック)」(東京都板橋区高島平1)社長、金大鉉(キムテヒョン)容疑者(40)=板橋区小豆沢2、同社社員、金赫(キムヒョク)(35)=板橋区高島平1=両容疑者。法人のフォー社も書類送検された。

 調べでは、金容疑者らは昨年4月〜同8月、都内や福岡市の3診療所の医師にボトックスなどしわ取りのための注射薬9本(約28万円相当)を国に無許可で販売するなどした疑い。昨年2月以降、全国の病院や診療所約180施設に販売し、約6億8000万円を売り上げていたとみられる。

 医薬品の輸入は、厚生労働省の薬事監視官に患者の同意書や医師の念書を提出し、許可を得る必要がある。金容疑者らは医師から注文を受け、同意書や念書を社員に代筆させ、提出していた。医師側も不正について認識していたとみられる。

 今年2月、組対1課が無資格で美容整形をしていたエステサロンを摘発した際、ボトックスなどの使用済み容器を発見。入手ルートを調べたところ、金容疑者らが浮かんだ。

 フォー社は、美容外科医の間では知られた存在だったといい、ある医師は警視庁の任意の調べに「個人輸入すると手元に届くまで時間がかかるが(同社は)約1日で届いた。早いし安かったので頼んだ」などと話しているという。

【ことば】ボトックス

 ボツリヌス菌の毒素を精製した米国の製薬会社「アラガン」の薬剤の商品名。ボツリヌス菌の毒素には、筋肉の動きを抑制する働きがあり、顔面や目の周囲のけいれんなどの治療に用いる。厚生労働省によると、投与した筋肉以外に影響する場合があり、ものを飲み込む際の嚥下(えんげ)障害、肺炎などの副作用で死亡例が報告されている。ボトックスを注射することで額や眉間(みけん)の「しわ治療」を行う美容目的で広く知られている。

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