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2008年07月31日(木) 03時04分

薬物常習者データ、イラン人組織が「客付き携帯」で密売読売新聞

 警視庁が摘発した二つのイラン人薬物密売グループの拠点から、薬物常習者約3000人分の連絡先を登録した「客付きケータイ」と呼ばれる携帯電話約30台が押収されていたことがわかった。

 連絡先の多くは、4年前に壊滅した首都圏最大のイラン人密売組織が集めたデータで、二つのグループのメンバーたちは「この組織から入手した」などと供述しているという。

 常習者の連絡先は、密売人の間で1人分数十万円で売買されるほど貴重な情報で、同庁は、顧客の情報を新たな組織に引き継ぐ裏社会のネットワークが存在するとみて調べている。

 同庁幹部によると、今年5月、覚せい剤取締法違反容疑などで逮捕したナバンド・モジタバ被告(22)らイラン人5人が拠点にしていた茨城県つくば市のアパートから、レンタル携帯電話約60台を押収した。このうち25台に薬物常習者約2500人分の連絡先の電話番号が登録されており、同庁がグループの1人を追及したところ「密売組織に金を払って手に入れた」と供述したという。

 首都圏では1990年ごろから、1000人以上もの密売人を率いるイラン人密売組織「ジャバディ」が暗躍。客付きケータイを1台1000万〜3000万円で密売人にレンタルし、売上金の一部を上納させることで月約3000万円もの違法収益を得ていた。

 ジャバディは2004年10月、「恐怖の帝王」と呼ばれたリーダーのマフムード・キャドホダイ受刑者(44)が大麻取締法違反容疑で逮捕されると解体に追い込まれた。しかし、摘発を免れたメンバーの一部が客付きケータイを使って密売を続けていたとみられ、モジタバ被告は今年1月、このメンバーから客付きケータイと末端の密売人を引き継ぎ、東京・池袋などで覚せい剤や大麻などの密売をするようになったという。

 東京・芝公園などを拠点にしていたアボルファズル・エグダーミー被告(33)(覚せい剤取締法違反などの罪で起訴)ら6人のグループも、計約600人が登録された客付きケータイ4台を持っていた。この中にも、ジャバディの密売人から薬物を購入していた常習者の連絡先が登録されており、同じデータが、このグループにも渡ったとみられる。

 薬物常習者は薬物の購入のため月数十万円を使うとされ、その連絡先は密売人たちにとって最も重要な情報。今回、押収された約30台の客付きケータイの中には7年前に契約された携帯電話も見つかっていた。同庁は、常習者や末端の密売人が逮捕された時に備え、連絡先のデータを新しい携帯電話に移し替えて管理していたとみている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080730-00000062-yom-soci