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2008年07月31日(木) 11時14分

掲示板炎上事件、ウィキペディアに延焼オーマイニュース

 円より子参議院議員・民主党副代表については、「投票ボタンの押し間違いにより全会一致を阻止した事件」を6月にお伝えしたが、ネット上で広く知れ渡っていたのはむしろ5月に発生した別件の方ではないだろうか。オーマイニュースでは、瀬田隆一郎記者のショートニュースが掲載された。

 美少女ゲームの販売を規制すべき、とする請願の紹介議員となった際に、特に何の根拠もなく「青少年が心を破壊され、人間性を失う」と主張し、また実際には減少の一途をたどっている誘拐殺人事件を持ち出したことなどから、公式サイトの掲示板がいわゆる「炎上」状態となっていた件である。

 この重大ではあるものの、くだらなくもある「連続事件(?)」に、続報があった。

   ◇

  7月14日から15日にかけて、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の円氏の項目に多岐にわたる編集が加えられ、その結果として一時的に「編集保護」(=編集ができない)状態に設定されていた(7月31日時点では、未登録・新規ユーザーによる編集が禁止される「半保護」状態に緩和されている)。

 この多岐にわたる編集が、参議院内部からのアクセスであったことが判明した。

 一体どんな編集がされていたのか。この2日間に当該項目に加えられた編集について確認してみた。

 まずは、民主党での役職(東京都総支部連合会会長)の修正など、肩書や経歴の細部に手が入れられている。公開されている情報でもあろうが、普通に考えれば事情にかなり詳しい方の手になるものかと推測される。

 目立つところでは、先ほど紹介した「掲示板・ブログ炎上事件」や「投票ボタンの押し間違いによる反対投票」といった項目がページ上部の「経歴」の欄に記載されていたが、これをページ後半の一般項目に移動した上で、一部の補足説明を削除している。

 削除された内容としては、請願の件については、円氏が過去にブログで「誰でも請願を通じて国会に苦情を訴え、これが公の場で議論されるようにすれば、透明で開かれた政治が行われる」と述べていたこと、誤投票の件ではミス防止のために賛成ボタンが白・反対ボタンが緑(青)になっていることなどがあり、いわゆる「不都合な真実」の類といえる。

 さらに細部に目を向けると、「政治的主張」の項目では2000年に男性助産師の認可を民主党のワーキンググループ座長として阻止した件について、その結果として現在の助産師不足などの問題があると指摘する意見に関する記述が削除された。一方、2007年に「身近な地域での安心して産める場所の確保に関する請願」の紹介議員となった、という項目が追加された。

 また、1999年にいわゆる「盗聴法案」に関する審議の際、長時間にわたる反対演説を行った件については、見出しの「議事妨害」を、言い換え語の「フィリバスター」に変換。本文中の俗称「牛タン戦術」を削除している。なお、現時点の『ウィキペディア』日本語版では、「フィリバスター」はこの意味では見出し語になっておらず、結局、「議事妨害」に転送されることを補足しておく。

 関連項目からは、「カスパル」が複数回にわたって削除された形跡が見られた。

   ◇

 どうにも見事な「編集合戦」といえるかと思う。しかも、一時的には極めて優勢であった。編集の内容と量から考えて、これがすべて本人によるものとも考えにくい一方で、本人にかなり近い人物によるものであることはほぼ間違いないと思われるのだが、いかがだろうか。

(記者:渡辺 亮)

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