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2008年07月30日(水) 20時48分

高額な包茎手術にご注意医療介護CBニュース

 東京都はこのほど、東京都消費者被害救済委員会(淡路剛久会長)があっせん解決した「高額な包茎手術の契約に係る紛争」についての審議の経過と結果を公表した。同委員会は、消費生活総合センターなど相談機関に寄せられた苦情や相談のうち、都民の生活に著しく影響を及ぼす、またはその可能性のある紛争について、「あっせん」や「調停」で解決を図る知事の付属機関で、この紛争の当事者は、20歳代の4人の申立人と3か所のクリニック、信販会社2社。

 申立人は、雑誌やホームページ(HP)の広告を見て、15万円程度で包茎手術を受けられると考え、クリニックへ行って手術を受けたところ、当初想定していた15万円をはるかに上回る98万-247万円を払うことになり、東京都消費生活総合センターなどに相談。相談員の助言を受けて、クリニックには減額を求める通知をし、クレジット契約を結んだ3人は信販会社に支払い停止の申し出をしたが、クリニック側の「金額は何度も本人に確認し、納得を得てから手術したため、全額の支払いを請求する」などとする回答に納得できず、紛争に至った。

 紛争は今年1月9日に都知事から同委員会会長に付託され、2月22日から7月2日まで9回にわたってあっせん・調停部会が開かれた。

 同委員会は、「包茎手術157500〜」と表示しながら、はるかに上回る金額を請求しているなど、雑誌やHPでの表示に問題がある点や、不安をあおって勧誘・契約をしている点などを指摘。
 その上で、医療契約は不成立・無効、または消費者契約法によって取り消されたものと判断。手術結果に問題はないとした3人については、支払額が包茎手術の相場とされる10万円となるよう清算し、手術後、痛みが取れない1人については、受け取った金を全額返還することをクリニック側に求めた「あっせん案」を示したことにより、紛争は解決した。
 信販会社については、紛争の付託後、信販会社側がクレジット契約の取り消し処理を行っていたため、あっせん案の提示先とはならなかった。

 都内の消費生活センターに寄せられる包茎手術に関する相談件数は、このところ増え続けており、昨年は64件。東京都消費生活総合センターでは、「包茎手術の場合、若いころから悩みを持っていて、いつかは手術をしようとずっと考えていた上で決心するなど、強い気持ちで手術を受けに行くため、金額などに問題があっても手術を受けてしまう。できれば隠したい話なので、友人にも相談できないケースが多い」と話している。


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