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2008年07月30日(水) 18時44分

アナウンサーにプライバシーはあるべきか?オーマイニュース

 7月29日、フジテレビの人気アナウンサーである渡辺和洋さんの不倫疑惑が某週刊誌によるスクープとして世に広まった。このニュースを見た人たちはくれぐれも、

 「山本モナに続いて、またフジのキャスターか……」

のような、安直な感想は持たないで欲しいと切実に思っている。

 山本モナさんはフジテレビの報道番組に出演していたがタレントであり、いわゆる「公人」と定義される人物なので、ある程度のプライベートのスクープは覚悟しなければいけないと思うが、渡辺さんはフジテレビの社員である、いわばサラリーマンなのである。週刊誌というメディアによって、一般人のプライベートが堂々と侵害されてしまったのだ。

 ただ、TVアナウンサーという職業をサラリーマンに分類しても良いものか、という思いもあるのだ。

 TVアナウンサーは大きく2種類に区別することができると考えていて、それは「報道キャスター」と「バラエティー担当」だ。前者は主にニュース番組などで会社が制作した原稿を読み伝えている人で、会社という組織の一員であることが理解できる。

 一方、バラエティー担当のアナウンサーはどうだろう。ご存じの方も多いだろうが、今回記事となった渡辺さんはこちらに分類される。こちらに分類されるアナウンサーの多くは番組の司会進行役としての役割を担っているのだが、タレントが司会を務める番組も当然のごとく多数存在するので、彼(彼女)らの仕事はタレントと同等とも言える。

 人気のあるアナウンサーはファンサイトなども数多く存在し、アイドル的な人気を博すこともあることから、こちらはサラリーマンと言うよりはタレントに近い存在であるのだ。

 まさに「公人」と「一般人」の境界線上に位置するアナウンサーという職業の扱いは非常に難しいところがあり、法律家であっても解釈は人それぞれであろう。ただ、筆者自身は渡辺さんはサラリーマンである以上「一般人」という区別をしているので、この場合、問題はスクープをした週刊誌側にあると考える。

 もし、「報道の自由」という大義名分を振りかざして、週刊誌側の行為が正当と見なされてしまっては一般人である私たちのプライバシーなど、あってないようなものになってしまうのだ。これはゆゆしい事態である。

 今後、この問題は大きく動いていくかも知れない。というのは、ここまで述べてきたように一般人のプライバシー保護という観点から見て問題があること以外に、この記事の情報源は、渡辺さんの不倫相手とされる女性の、知人の証言であるというのだ。匿名の第三者の発言だけでは余りに信ぴょう性に欠ける内容であって、おそらく記事がすべて真実ということは無いだろう。私は渡辺さんが近いうちに名誉を毀損(きそん)されたということで週刊誌側を訴えることを願っている。一般人のプライバシーの重要さを世に訴えかけるチャンスであり、報道関係者にとってもメディアの在り方を見直させる非常に良い機会ではないか。

(記者:植村 羊平)

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