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2008年07月30日(水) 18時52分

イラク、五輪“不戦敗”を回避オーマイニュース

 国際オリンピック委員会(IOC)が、政府によるスポーツへの介入を理由に北京五輪への出場を禁止していたはずのイラク。そのイラクの選手団が、7月30日になって急遽(きゅうきょ)参加することになりました。陸上の2人だけにはなるものの、北京への派遣を認められたからです。

 北京五輪への出場資格を一時全面的にはく奪されたはずのイラク選手団が、「男子円盤投げと女子短距離の選手2人、トレーナーが国旗の下で参加、政府代表5人をオブザーバーとして招待する」と言う条件で北京に入ることになりました。

 イラクの出場が認められたことについて、第一報を見た私はまったく信じられない気持ちでした。アテネを大幅に下回るにもかかわらず、開会式の行われる北京の国家スタジアム・通称「鳥の巣」に、一時の絶望を超えてイラク国旗がはためくことが確定したからです。

 急転直下で選手団派遣が認められた背景には、イラクの関係者がスイス・ローザンヌのIOC本部を訪問し、「これから独立したNOC(国内オリンピック委員会)をつくる」と確約したこと、そして、陸上競技のエントリーがまだ締め切られていなかったことにありました。

 私はこのニュースを知るまで、イラク選手団の北京行きが完全に閉ざされたと思い込んでいただけに、陸上競技がまだエントリーしていたことを忘れていただけに、とても驚きました。

 イラク政府には独立したNOCづくりなどの課題が残されることにはなりましたが、「イラク欠場」という禍根の可能性は無くなり、イラク国民や在外のイラク人の皆さんが、自国の選手をテレビやラジオで応援できることも決まりました。

 これで、北京五輪の課題がひとつクリアされたことになりますが、私にとっては、「もっと世界の選手に目を向けて北京五輪を見ろ」と教えられているような気がした出来事でした。

(記者:河村 崇)

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