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2008年07月30日(水) 11時44分

[特集]iPhone 3Gは、まだまだ? まずまず? 端末の基本アプリを徹底チェックBCN

 徹夜で並ぶのをあきらめ、7月11日の発売日に手に入れることを断念したiPhone 3Gだが、なんとか試用する機会に恵まれた。そこで、もっとも使用頻度が高いと思われるメール、ブラウザ、マップを中心に、どの程度の完成度なのかを使用感や使い勝手を中心にまとめた。

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●メールはPC風、IMAP対応が使いやすい

 iPhone 3Gのメールは、MobileMe、Microsoft Exchange、Yahoo! Mail、Google Gmail、AOLなど、一般的なメールサーバーとプロバイダー、そしてIMAPやPOPといった業界標準のメールシステムに対応しているのが特徴。今回、メールを試すにあたって、筆者はアップルのMobileMeアドレス、GoogleのGmailアドレス、さらにふだんPCで利用している2つのメールアドレスの計4つのメールアドレスを設定して使ってみた。このうち、GmailとMobileMeはIMAPに対応しているが、他の2つは通常のPOPメールだ。ちなみに、iPhone 3Gで利用できるメールサービスは、いわゆる携帯メールではなく、PCと同じ一般的なメール環境を使用する。そのため日本の携帯電話に一般的に使われている絵文字や装飾メールには対応しない。

 メールを起動すると、自動的にこれら設定済みの4つのアドレスをチェックして、届いているメールがあれば受信してくれる。POPメールの場合は、PCまたはiPhone 3Gのどちらかが「受信後にサーバーから削除」する設定で、どっちかで先に受信してしまうと、当然ながら他方ではそのメールを見ることはできない。とくにHTMLメールの場合は、iPhone 3Gで先に受信していても、あとからPCで受信してサーバーから削除してしまうと、iPhone 3Gにはメールのヘッダ情報だけを残して、メール本体は見られなくなってしまう。POPメールは、PCとiPhone 3Gのどちらで先に受信するのか、「受信後にサーバーから削除」はどのタイミングで行うのかなど、よく考えて設定しておく必要がある。

 一方、IMAPの場合、メールはサーバー側に保存されるので、PCからでもiPhone 3Gからでも、いつでも同じメールを見ることができる。不要なメールだけサーバーから削除することができるので、PCとiPhone 3Gの両方で必要なメールを共有するといった使い方が可能になる。PCとは別に、iPhone 3Gのようなモバイル端末でもメールチェックをするという使い方では、IMAP対応サーバーを使ったほうが便利だ。さらに、アップルのMobileMeメールはプッシュ型なので、いちいち受信操作をしなくても、新着メールは自動的にiPhone 3Gに届くようになっている。しばらく使っていると、IMAPとプッシュ型の組み合わせがいかに便利であるか実感できた。

●手のひらの中でPCと同じWebサイトが閲覧できる快適さ

 モバイル・インターネット端末としてのiPhone 3Gを、さらに実感できるの機能がSafariだ。手のひらの中で、PCで見るのと同じWebサイトが閲覧できるというのは、1度使ってみると手放せなくなる。ちなみに、iPhone 3Gはフルブラウザのみに対応するため、「モバゲータウン」など携帯電話向けのサイトは閲覧できない。他の携帯電話やスマートホンでも、PCと同じWebサイトの閲覧は可能だが、Safariは、2本の指を使ったピンチ操作やダブルクリック操作で、Webページを自在に拡大・縮小できるところがすばらしい。拡大しても、文字や画像は鮮明に再表示するという機能は、他のモバイル端末では不可能だったからだ。

 Webページの表示速度に関しても、Wi-Fi経由のときは、ほとんどストレスを感じることなく利用できた。3Gネットワーク経由のときは、重たいWebサイトでは表示に時間がかかることもあるが、通信インフラの問題なので仕方ないといえる。また、SafariはFlashコンテンツには未対応であるが、FlashベースのYouTubeは視聴することができる。YouTubeの視聴を可能にするために、YouTube専用のアプリを標準搭載するという徹底ぶりだ。実際の視聴に関しても、筆者が試用した限りではそれで不便を感じるようなことはなかったが、3Gネットワークでは、少しビデオの読み込みに時間がかかった。

 Safariはタブブラウザではないが、代わりに複数ページを切り替えて表示できる機能を搭載している。Webサイトの検索、URLの直接入力、会員制サイトなどでのIDとパスワードの入力などでは、ソフトウェアキーボードが表示されるので、スムーズな入力が可能だ。とくにiPhone 3Gを横位置に持った状態で、SafariでWebサイトを閲覧しているときは、キーボードも横位置で表示されるので、縦位置のときよりも1つ1つのキーが大きくなってミスタイプしにくくなる。

 iPhone 3Gは、Wi-Fi環境下ではWi-Fiネットワークを利用し、そうでないときは、ソフトバンクモバイルが提供する3Gネットワーク通信を利用する。ユーザーが通信手段を切り替える必要はない。そのときどきで利用可能な一番速い通信手段を、iPhone 3Gが自動的に選択してくれる。こうした、シームレスなネットワーク接続環境は、これまでのスマートホンでは味わえなかった心地良さを感じた。

●日本語入力は「まだまだ」、反応の遅さや誤変換、挙動不審に遭遇

 iPhone 3Gはタッチパネル式の携帯電話のため、文字入力も当然タッチ操作で行う。文字入力の際には、画面上にソフトウェアキーボードが表示される。日本語入力には、QWERY配列のアルファベットキーでローマ字入力する方法と、一般的な携帯電話と同様のテンキーでひらがな入力を行う2つのパターンが利用できる。

 QWERTY配列のアルファベットキーは、タッチしたキーが飛び出して拡大表示される。このギミックはわかりやすくて良いのだが、指のどの部分が画面に触れているのかが判断しにくく、自分では「R」にタッチしたつもりが、隣の「T」が反応することもしばしば。タッチ位置の微調整機能が欲しい。

 テンキーで日本語入力する際には、例えば、一般的なケータイと同じように「な」を3回タップすると「ぬ」が入力できる。また、キーを長押しすると、その周囲に同じ行の文字が表示されるので、その状態で指をスライドさせることでも文字入力できる。

 どちらにしろソフトウェアキーボードでの文字入力は、短い文字入力なら使い勝手はそこそこだが、ある程度の長文を入力しようと思うと、かなりストレスを感じた。しかも、いろいろなアプリを使ったあとでは、極端に反応が遅くなることがある。たまに、デリートキーを1度タップしただけなのに、連続タップしたかのような反応を起こして、それまでに入力していた文章が見る間に消されていく、という現象にも遭遇した。とにかくiPhone 3Gの日本語入力は、まだまだ改善の余地がありそうだ。

●「Googleマップ」との相性は抜群、超小型ナビ風の使い勝手

 標準搭載アプリで、他に使用頻度が高そうなものでは「マップ」があげられる。マップとは、Googleマップ上に現在位置を表示させることができる機能のこと。位置情報の把握には、GPSとWi-Fiネットワークを利用するが、GPSが利用できる環境では、かなり正確に現在位置に赤いピンが表示される。GPSが利用できない環境では、Wi-Fiネットワークを使っておおよその位置を表示するが、その場合は現在地の範囲を絞り込む円がやや大きく、ピンの色も青になる。「Safari」同様に、タップして地図を拡大表示させ、あとは自分で現在位置を探すといった使い方も可能だ。

 さらに、目的の住所を入力して地図に表示したり、出発地と到着地を入力してその間の経路を表示するといったこともできる。携帯電話では、地図の詳細表示には別途会員登録と月額利用料が必要となるアプリが多いが、iPhone 3Gのマップ機能は「Googleマップ」を使用しているため、無料で詳細な地図表示や航空写真の表示も可能だ。GPS機能付きの地図を無料で持ち歩けるというのは、使ってみると意外と便利なことに気づいた。

 「カメラ」は、日本の携帯電話のほうが機能的に優れているし、使い勝手もいい。画質の面でも、iPhone 3Gは有効200万画素で、最近の日本の携帯電話と比べると見劣りがする。ズームもAF機能もなく、露出補正もできない。また、動画も撮影できない。
 しかしカメラで撮影した写真に、撮影地点の位置情報のジオタグが埋め込まれるのは面白い。インターネットの写真共有サイトには、ジオタグを読んで、地図上に自動的にその写真を配置して表示するサービスを提供しているところもある。そうしたサイトにiPhone 3Gで撮影した写真をアップロードすれば、地図とリンクした写真の楽しみ方ができる。

●長文作成には外付けキーボードが欲しい

 iPhone 3Gは、すばらしく使い勝手に優れたモバイル・インターネット端末であるということがわかった。筆者はふだん、OSにWindows Mobole 6を採用したスマートホンも使っているが、それと比べても、手のひらの中でインターネットを操るという点では、iPhone 3Gのほうが使いやすいし、使っていて楽しい。

 しかし、現在のiPhone 3Gに問題がないわけではない。先に述べたように、日本語入力環境は、まだ満足のいくレベルには達していないようだ。いずれはiPhone 3Gに対応した外付けキーボードなども登場するかもしれないが、少なくとも現状では、仕事やメールなどで外出先でも長文を書く必要があるなら、ミニノートPCなどのほうが快適だろう。

 また、使い続けていると、ソフトウェアキーボードの反応が遅くなったり、突然アプリが落ちたりすることが少なからずあった。iPhone 3Gの挙動がおかしいと思えるようになったら、一旦電源をオフして起動するか、強制再起動すると、しばらくは元通りに問題なく動作するようになる。しかし、しばらくするとまた症状が再現することから、もしかすると、OSそのもののメモリ管理などに根本的な問題があるのかもしれない。いずれにしても、この問題の根本的な解決には、今後のOSのバージョンアップを待つほかないだろう。

 現時点でいくつかの不満点を抱えていることは否定できないが、それでも、外出先でさわっていると、とにかく楽しい。まだiPhone 3Gを「買おうか、どうしようか?」と迷っている方には、携帯電話としてよりも、むしろ、モバイル・インターネット端末としての利用価値を再検討してみることをおすすめしたい。(フリーライター・中村 光宏)

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