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2008年07月29日(火) 21時50分

教室血だらけ、泣く生徒 愛知の中学で教諭刺される東京新聞

 「もっと遠くへ逃げろ」。愛知県知立市の知立中学校の教室で29日、卒業生の少年(18)がかつての担任の先生を切り付けた事件。背中や胸を刺されながら同校教諭神谷佳久さん(34)は、逃げ惑う吹奏楽部の生徒をかばうように叫んだ。

 夏休みの午後。生徒約50人は8月の吹奏楽の大会に向けた練習のため集まり、顧問の神谷さんは生徒を見守るように教室前方に座っていた。ドアは開いていて、突然入ってきた少年がいきなり背中を刺したという。

 生徒らによると、逃げる神谷さんを少年が追い掛けてもみ合いになり、教室の床は血だらけに。泣き叫ぶ女子生徒に、少年は笑みを浮かべながら手を振っていたように見えたという。

 教室を出た少年を、野球部顧問の教諭が見つけ「何をしているんだ」と声を掛けると、渡り廊下に座り込んだ。駆け付けた警察官におとなしく捕まったという。校庭などで部活動中だった生徒は一時学校向かいの市役所に避難した。

 少年と中学の同級生だった会社員男性(18)は少年について「友達があまりいなくて、おとなしかった。こんなことをするなんて」と驚いた様子だった。

 昨年、神谷さんのクラスだった男子生徒は「先生は部活に熱心で厳しいけど、授業は面白くて人気があった」と信じられない様子で話した。

(共同)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008072990214718.html