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2008年07月29日(火) 19時11分

マック「ジューシーチキン 赤とうがらし」の食後感オーマイニュース

 ファーストフードチェーン大手のマクドナルドは2008年7月24日から新商品「ジューシーチキン 赤とうがらし」の販売を開始した。期間限定ではなく、レギュラーメニューとしての販売である。

 ジューシーチキンはその名のとおり、チキンを使用したハンバーガーである。赤とうがらしで味付けした鳥もも肉とレタスを合わせてゴマ付きバンズでサンドする。鳥もも肉はジューシーさにこだわり、一枚肉を使用したという。レタスにはマヨネーズが付されている。

 記者は2008年7月28日にマクドナルド東陽町でメロンパンやホットアップルパイと共に食べた。商品名に「赤とうがらし」と特記されているとおり、辛さが第一印象である。ちなみにレシートにも半角カタカナで「ジューシーチキン アカトウガラシ」と印字される。

 ジューシーチキンの辛さは、辛さを売りにしている世の中の食品と比べるならば序の口であり、激辛というほどではない。それでも子ども向けの味付けが基本であるマクドナルドにしては珍しい。

 メガマックなどのメガシリーズに慣れてしまい、普通のハンバーガーでは物足りなさを感じる向きにも、食後も口の中がヒリヒリする辛さはボリュームとは別の意味で食後感がある。逆に辛くてハンバーガーのバンズやほかのサイドメニューとマッチしていない感もある。

 マクドナルドは過去に「サルサチキンフィレオ」を期間限定メニューとして発売した。これはチキンフィレオをピリ辛のサルサソースとチーズで味付けしたものである。ジューシーチキンは、より単純に辛さで勝負した感がある。

 暑い季節には辛いものが好まれるため、この時期のメニュー化は穏当であるが、ジューシーチキンがレギュラーメニューとして季節を超えて定着するか注目したい

 マクドナルドのメニューとして異色なジューシーチキンであるが、マクドナルドの戦略に適合したものと考える。2点指摘したい。

 第1に比較的高い年齢層の顧客を呼び戻す戦略である。この点でプレミアムローストコーヒーと同様の位置付けである。ジューシーチキンの辛さはビールのツマミとして注文される可能性も期待できるだろう。

 第2に牛肉偏重からの分散である。マクドナルドはビーフ100%をうたい、自社の牛肉に自信を持っているが、狂牛病などによる牛肉離れが生じた場合、牛肉に特化していると打撃も大きくなる。このリスクを回避するためには、牛肉以外のメニューを充実させる必要がある。

 実際、マクドナルドは7月18日にはマックベーカリーと称し、メロンパン、チョコデニッシュ、シュガークロワッサンも新発売した。ジューシーチキンもビーフ偏重からの分散戦略の一環といえる。

 チキンフィレオやトマトチキンフィレオ、シャカシャカチキンに続く、ジューシーチキンのレギュラーメニュー化で、マクドナルドのチキン商品は充実した。この点でチキンを専門とするファーストフードチェーンのケンタッキーフライドチキン(KFC)と直接競合する。

 すでにKFCでは辛さをセールスポイントとするレッドホットチキンを販売している。逆にKFCではシャカシャカチキンに類似した形態のボンレスチキンを 2008年7月10日に新発売した。両者共に似たような方向を目指しているのは興味深い。チキンをめぐった大手ファーストフードの競争激化からも目が離せない。

(記者:林田 力)

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