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2008年07月29日(火) 06時02分

中国女子体操選手が年齢詐称か…金候補2人に14歳疑惑スポーツ報知

 米紙ニューヨーク・タイムズは27日、中国当局が発表した北京五輪の女子体操選手のうち、少なくとも2人が「出場資格の16歳に満たない14歳である疑いがある」と報じた。記事によると、その選手は、段違い平行棒金メダル候補の何可欣と江鈺源の両選手。過去の国内大会での公式記録などで、生年月日がそれぞれ「1994年1月1日」と「93年10月1日」と記録されている例が複数あるという。中国側は28日、「間違いはあり得ない」と全面否定した。

 「出場資格の16歳に満たない疑いのある選手がいる」—。“体操王国”に年齢詐称疑惑が浮上した。今回名指しされた、何、江の両選手は、国際大会で優勝した経験を持ち、段違い平行棒で金メダル候補に挙げられている有力選手だ。

 疑惑が浮上したきっかけは、過去の国内大会での公式記録や国内報道。何選手の生年月日が「1994年1月1日」(=14歳)、江選手が「93年10月1日」(=14歳)と報じられたケースが複数回あったという。

 だが、中国体操連盟当局者は、NYタイムズ紙の取材に対し、報道が誤っていると主張。生年月日が「92年1月1日」(=16歳)となっている何選手の今年2月発行のパスポート(旅券)と、「91年11月1日」(=16歳)と明記されている06年3月発行の江選手の旅券の写しを示し、反論。当局者は「両選手は国際大会に出場した経験があり、間違いない」と回答したという。

 女子体操界は低年齢化が進んでいる。ある日本体操協会の関係者は「選手としてのピークは15〜17歳くらい。20歳前後で引退を迎えるケースが多い」という。76年のモントリオール五輪の女子体操で、旋風を巻き起こしたルーマニアのナディア・コマネチ選手も当時14歳で金メダルを獲得したが、その後、医学的な理由や教育上の配慮から「16歳以上」という年齢制限が設けられ、現在さらに引き上げる方向で検討されているという。

 NYタイムズ紙も「年齢が若ければ、体重が軽い上、演技の際の恐怖心が少なく大胆になれることから有利」と体操専門家の間で考えられていると紹介。前述の日本体操協会関係者も「若いころのほうが体も軽く、高難度の技をこなせる体力がある。補助を信頼しながらできるので恐怖心も少ない」と指摘する。

 06年のトリノ冬季五輪女子フィギュアスケートでは、「前年の7月1日に15歳に到達していなければならない」との規定で、浅田真央選手が出場できなかった例が記憶に新しいが、女子体操では、91年の世界選手権に出場した北朝鮮の女子体操選手が11歳にも満たなかったとの疑いが持たれ、北朝鮮が93年の選手権で出場停止処分に。また、2000年のシドニー五輪で銅メダルを獲得した中国女子選手が大会後に国営放送で、自分の年齢が14歳だったことを明かした例もあるという。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080729-OHT1T00091.htm