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2008年07月28日(月) 11時15分

夏の記憶を共有する3世代の交流オーマイニュース

 7月24日から27日まで、宮崎市の宮崎市民プラザにて、「原爆と戦争〜宮崎空襲展」が行われた。

 原子爆弾や戦争の悲惨さを後世に語り継いでいくということで、県内各地で開催されている。私は2003年2月に行われた同展をはじめとして、何度か取材した。この4月に宮崎県清武町で行われた同展については、オーマイニュースでも3回に分けて動画で紹介した。

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 専属記者という形で取材しているが、取材だけではなく、準備からお手伝いをしている。週末にかけて開催する形となっているため、どうしても会場設営は平日になってしまう。

 同展を「成功させる会」のスタッフが中心となって準備をおこなっているが、さすがに人数が足りない。しかも高齢である。力仕事のできる若い世代は平日は仕事に出ているからだ。準備を行う前日、「ぜひとも準備の手伝いに来てほしい」という連絡を受けて、会場に足を運んだ。

 原爆と戦争〜宮崎空襲展は、文字通り、原爆や第2次世界大戦における「宮崎空襲」に関する資料だけではなく、広く関連資料や図書等が展示され、イスに座ってゆっくりとそれらの資料に目を通すことができるようになっている。

 また、特別企画として、磯永秀雄氏の「鬼の子の角のお話」などの絵本の読み聞かせ、映画「はだしのゲン」の上映、戦争体験を語り継ぐ3世代交流の集いなどが行われている。

 戦争体験者の高齢化に伴い、次の世代に戦争のことを伝えていくことは非常に大切なことである。

 ボランティアスタッフは、宮崎市内の高校生、専門学校生、大学生にお願いし、会場案内係や3世代交流の集いでの意見交換など、若い世代が積極的に関わることができるような配慮がされている。

 初日の24日は、平日にも関わらず、夏休みということもあり、開場の午前9時とともに来場者があった。絵本の読み聞かせでは、読み聞かせの会のみなさんが模範を示し、その後、高校生スタッフが小学生などに読み聞かせをしていた。

 午後0時30分からの「はだしのゲン」上映には、親子連れを中心に約50人が会場に詰めかけた。アニメではあったが、原爆投下後の広島の町のシーンでは、スクリーンから目を背ける子供もいた。

 その後、同展の目玉でもある「戦争体験を語り継ぐ3世代交流の集い」が行われた。約60人が参加した。

 オープニングに、延岡南中学校の生徒5人が、峠三吉の詩の群読を行った。

 この日は、被爆体験や戦争体験のことを上野良子さん、増田幸子さん、馬場辰巳さんの3人が語った。

 映画を観た後の体験談ということで、参加した若い世代のみなさんは、上野さんの話に真剣に耳を傾けていた。

 8 月6日前後の話から始まり、ピカドンに遭って負傷したこと。8月15日の終戦のこと。広島から実家の宮崎県新富町に帰るまでのことなど、まるで「はだしのゲン」のスピンオフ映画のように、その情景が頭に浮かんだのは、私だけではないだろう。上野さんの話にうなずく同年代の人も多かった。

 最後に、参加者全員で、「ふるさと」「夏の思い出」「青い空は」の3曲を歌った。

 スイカ、海水浴、セミ取り、空襲、ピカドン……。夏の思い出はそれぞれに違っても、こうして、戦争を知る世代も、知らない世代も、同じ部屋で同じ話を聴き、同じ歌を歌ったことで、何か分かり合えたものがあったのではないだろうか。

 「3世代交流の集い」での話を、ぜひ多くの人に聴いて欲しいと思った。

(記者:大谷 憲史)

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