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2008年07月27日(日) 08時00分

大分教員汚職 教委改革へ「荒療治を」 元教師ら 不正合格者「名乗り出て」産経新聞

 大分の教員採用汚職事件では県教育委員会ナンバー2の現職の教育審議監が不正合格を指示していた疑惑など事件捜査以外に、県教委の再生など課題が多い。確認が難しい不正採用の教員はどうするか。事件の教訓を教委改革にどう生かすか。ほかの教育委員会の委員や元教師に聞いた。

 全国都道府県教育委員会連合会の木村孟会長(東京都教育委員長)は、大分の事件を「なあなあで済ませる日本社会そのもの」と指摘。

 昇任試験を含めすべての不正を明らかにすべきだとし、「一番怖いのは『現場が混乱するから』と捜査を途中でやめること。荒療治をしないと、この国の風潮は改まらない」と話す。

 また茨城県の和田洋子教育委員長も「採用の透明性確保が教育の信頼回復につながる」と述べた。教育の継続性という課題があり非常に難しい問題だとしながら、「事実確認という、なすべきことはしないといけない」。

 約20年の教員経験を持つ尾木直樹法政大教授は「不正をして教委事務局に上がった人もいる。事務局の人間が処分されずに不正防止をいうのは許し難い。泥棒の親分が子分を犯罪者だというようなもの」と事務局の調査も徹底すべきだという。

 また埼玉県教育委員長の高橋史朗・明星大教授は、問題は外部識者らの教育委員が教委事務局をチェックできない仕組みにあるとし、「会議は月1、2回、2時間程度の審議では教育委員の権限を果たせない。十分な時間が取れる委員を任命すべきだ」と強調。「不正をチェックできなければ教育委員の本来の趣旨が問われる。できないなら教育委員は廃止しなければならない」と危機感を募らせる。

 不正合格者はどうするか。

 ヤンキー先生と呼ばれ教員経験を持つ義家弘介参院議員は、不正合格した教員は名乗り出るよう求めた。「それが保護者の信頼回復につながる」

 名乗り出れば解雇せず、指導力不足教員のような研修を受けさせればいいという。「警察の捜査で発覚した場合は解雇すればいい」

 さらに、「組合承認というなれ合い人事を改めるべきだ」と教委改革を求めた。短期的には教育長と人事担当部長に文科省や他県の教育長ら、しがらみがなく、ビジョンがある外部人材を登用すべきだと提言。中期的には教育行政の専門家を育てることだという。

 元国立市教育長の石井昌浩氏は、程度の差はあれ、どこでも起こりうる可能性がある事件とみる。

 「今回は、教育委員会というレイマンコントロール(一般市民による支配・監督)そのものが虚構だったことを認めたようなもの」と前置きして、「県教委の幹部らを逮捕しても解決にはならない。本当の問題はアメリカ占領の置き土産である教育委員会制度そのものだ」と指摘。教育行政の在り方を考える機会にすべきだと訴えた。


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