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2008年07月26日(土) 15時06分

大分県教委 教員採用汚職 押収パソコン返却へ 不正証明 期待と不安西日本新聞

 ●教員入れ替えは難題
 
 大分県の教員採用汚職事件で、得点の不正操作に使われたパソコンが月内にも大分地検から県教委に戻ってくる。小矢(こや)文則教育長はデータを復元し、不正合格が確認できた教員は2学期が始まる前にも採用を取り消したい方針だが、教員補充を含めた作業はうまく進むのか。県警は不正合格者を「約40人」としており、現場の教職員は戦々恐々としている。

 夏休みが終わるまで約1カ月。残された時間は短い。大分地検は、県教委からの早期返却の要請に応えたが、県教委の職員からは「こんなに早く戻ってくるとは思わなかった。処分の手順も固まっていないのに」と困惑の声が上がる。

 県警が押収した公用パソコンは、得点を操作したとされる元義務教育課参事江藤勝由被告(52)=収賄の罪で起訴=や富松哲博教育審議監(60)のものなど複数ある。削除されたデータを復元したが、返却時には押収時と同じ状態で戻すという。

 データの復元は県教委が新設した教育行政改革プロジェクトチーム(PT)が当たる。PTトップの照山龍治総務部審議監は「事件の実態を解明する上でも急がなければならない」と意気込む。PTにはパソコンに詳しい職員も配置しており、復元は可能とみられる。

 ただ、「データを復元できても不正を証明するのは難しい」と言うのは県教委の小野二生教育審議監。原本の解答用紙は保存期間の内規に違反して、試験の約半年後に廃棄してしまった。復元されたデータが正しいとは限らず、照合もできない状態となっている。

 もし不正を証明できた場合、頭が痛いのが、不正採用者の数だ。県警の調べでは、得点の水増しで小学校教員に採用された教員は08年度が約15人、07年度は約25人。大量の採用取り消しも想定され、どう教員を補充するか難題だ。

 年度途中の教師の差し替えは子どもへの影響も小さくなく、課題山積の状況に、小矢教育長は、「(今後どうなるか)仮定の話には答えられない」と語るのみだ。

=2008/07/26付 西日本新聞夕刊=

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