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2008年07月26日(土) 09時54分

教授英書盗作 九大、和解金“肩代わり” 本人負担は1/4 学内から批判も西日本新聞

 九州大大学院芸術工学研究院の男性教授(58)=楽器音響学=による英書盗作などの問題で、大学側が英書の出版元に対し、約3000ポンド(約60万円)の和解金を支払っていたことが25日、分かった。このうち男性教授の負担は4分の1。残りを支出した九大は「雇用者としての責任」を強調するが、学内からは「1円でも大学が支払うのはおかしい」との批判も出ている。

 男性教授は、東京の私大教授との共著で出版した書籍が英国のケンブリッジ大出版局の英書と酷似していたことや、この英書の8割以上をコピーして計約140冊を製本、学生に一部1000円で購入させたことから、昨年10月に出勤停止3カ月の懲戒処分を受けた。

 九大によると、処分内容や著作権に関する研修会開催など、事後の対応を報告した後の同月下旬、ケンブリッジ側が和解金約3000ポンドの支払いを要求。弁護士と相談して妥当な金額と判断、今年2月に全額を送金した。その後、男性教授に4分の1の負担を求め同4月に支払いを受けたという。

 安河内朗・芸術工学研究院長は「行為自体は教授に非があるが、雇用する大学側も著作権に対する啓発不足などの責任がある。懲戒処分したことも踏まえて負担割合を判断した」と説明した。

 これに対し、九大のある教授は「国から公金を受けて運営される大学で、こんなずさんな支出は認められない。全額を(男性教授に)負担させるべきだ」と憤っている。

=2008/07/26付 西日本新聞朝刊=

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080726-00000012-nnp-soci