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2008年07月26日(土) 10時00分

【トレンド】【無印良品の新戦略】実験的商品を数多く展開、新宿のど真ん中に「大型旗艦店」を作ったワケnikkei TRENDYnet

 東京・新宿の伊勢丹に程近い場所に誕生した、新しい複合施設「新宿ピカデリー」。7月19日にその核となるシネマコンプレックスが開業したのに続き、26日には無印良品の大型旗艦店「MUJI新宿」がオープンする。

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“わけあって、安い”とは一線を画す、高価格ラインを積極展開

 新宿ピカデリーの地下1階から2階を占める同店は、「MUJI」という名前の通り、他の無印良品の店舗とはコンセプトが全く異なる。定番商品にはない実験的な発想で衣服づくりを行う「MUJI LABO」や、素材や生産過程にこだわり、サイズオーダーも可能な家具シリーズ「REAL FURNITURE」など、“わけあって、安い”という無印良品のコンセプトとは一線を画す高価格ラインの商品を数多く展開しているのが特徴だ。

 「新宿には新宿店、ルミネ新宿店、新宿ペペ店と無印良品の店舗がすでに3店舗あり、日常的に利用する店として定着している。ただ、スペースの制約などで、『MUJI LABO』や『REAL FURNITURE』といった無印良品の新しいコンセプトを伝える実験的なラインをうまく展示できなかった」(無印良品を運営する良品計画)という。

客層を意識した限定商品や通常商品の先行販売も

 同店限定商品や通常商品の先行販売も、目玉の一つ。限定商品は、例えば1階にあるキッチンウェアコーナーには、フランスから買い付けた食器やキャセロールなどが並ぶ。「伊勢丹などでよく買い物をする目の肥えた女性客を意識している」(良品計画)。フィットネスグッズを多数集めたコーナーもあり、メーンの客層である女性を意識したラインアップが印象的だ。

 また、男性でも重宝しそうなのが、靴下や靴、フットケア用品など、足回りの商品を集めたコーナー「MUJI LEG」。先行商品として、無印良品の大ヒット商品である「足なり直角靴下」の左右の形状を変えてフィット感をアップさせた商品も先行で販売している。

“わけがある”ワイン、手ごろな一品料理…「夜」を重視した飲食ゾーン

 地下1階にある「Cafe & Meal MUJI」は、ランチは従来の店舗と同様にデリ方式で提供しつつ、夜のメニューを充実させているのが特徴。入口を入ってすぐ目に入る大きなワインセラーには、フランスや南アフリカ、アルゼンチンなど、世界中から集めたオーガニック(有機)ワインやフェアトレード(公正貿易)ワインが並ぶ。料理は注文を受けてから作る一品料理が中心で、「ケーゼ(型焼きソーセージ)」や「旬の野菜パフェ」といった個性的なものから、ラザニアやロールキャベツ、ビーフシチューといった定番メニューまで、全て1000円以下と手ごろに味わえる。

狙いは“無印ファン”の呼び戻しターミナルに3年で5店舗を出店予定

 今回の旗艦店で同社が狙っているのは、“卒業”した無印ファンの呼び戻しだ。かつての無印良品ブームを支えた層は、今は30代以上。大人になって「高くても良いものがいい」と考えるようになり、離れていったファンも多いという。そのため、同社では高価格ラインの展開や海外の個性的な商品の買い付けといった新たな試みも始めたが、「定番商品が多数を占める店頭では、それが伝わりにくかった」(良品計画)という。

 実は「MUJI」の展開は、新宿が2つ目。1店目は昨年3月にオープンした東京ミッドタウン(東京・六本木)に出店しているが、「六本木は展示する家具の配置にまでこだわった世界観重視の店舗。新宿は広いスペースに余裕を持って商品を配置するなど、『買いやすさ』も重視している」(良品計画)という。同社では、こういった情報発信源となる“トガった”大型旗艦店「MUJI」を3年で5店舗程度、情報発信力の強いターミナルエリアに出店する計画だ。

(文/山下奉仁=日経トレンディネット)

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