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2008年07月26日(土) 10時00分

【トレンド】食パン・調味料がヒット、「PB(プライベートブランド)商品」がコンビニも制する!?nikkei TRENDYnet

 食品から日用雑貨に至るまで、大手メーカーの相次ぐ値上げを尻目に売り上げを伸ばしている、PB(プライベートブランド)商品。流通企業が独自に企画して自社店舗で販売する商品で、大手メーカーのNB(ナショナルブランド)商品よりも手ごろな価格が受けている。流通が“自社商品”として店頭で大々的にアピールしていることも、売れ行き好調の要因として大きい。

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 このPBに、ちょっとした変化が起きている。

価格志向のスーパーからコンビニの店頭にも進出

 これまでPBの主戦場は、「安売り」を武器にするスーパーマーケットだった。時期によって特売対象商品が変わり、特売にならない商品もあるNBに対して、PBはNBよりも常に安いという安心感が強みになるからだ。そのPBが新たに、「定価販売」が基本のコンビニエンスストアにも進出を始めた。コンビニではもともと弁当やパン、低価格菓子などはPBだが、最近では調味料や飲料といった加工食品や洗剤などの日用品にまで拡大している。いったい、なぜなのか。

 最近増えているコンビニのPB商品に共通するのは、企業グループのPBだということ。セブン-イレブンは、セブン&アイグループのPB「セブンプレミアム」、ミニストップはイオングループのPB「トップバリュ」、ローソンは関連会社が運営する生鮮コンビニ「ローソンストア100」で展開しているローソングループのPB「バリューライン」を導入している。グループ全体の強力な販売網を使って売り上げを伸ばすと同時に、量産効果で低価格のまま品質を高めたり、利益率を高めたりもできるわけだ。

 特に注目は、最初からスーパーとコンビニ両方での展開を前提に開発された「セブンプレミアム」。イトーヨーカドーの店舗数が179店(2008年5月末時点)なのに対し、セブン-イレブンは1万2021店(2008年6月末時点)と圧倒的に多く、コンビニで展開することによる販路拡大効果は絶大だ。

 しかし、ユーザーがそれほど価格志向ではないコンビニで価格訴求のPBが売れるのだろうか。この疑問に対して、各社が口を揃えるのが、「客層の変化」だ。

 都市部への出店が一巡し、最近では駅から離れた住宅街などにも進出。20代、30代の男性が中心といわれたコンビニに、主婦や高齢者の客も増えている。「『スーパーは遠くて頻繁に行けないからコンビニに行く』という客が増えており、スーパーと同じ価格という値ごろ感が響いている」(セブン-イレブン・ジャパン)という。そういった客層を意識してか、品揃えでは、ドレッシング、めんつゆといった調味料や洗剤などの日用品など、これまでコンビニではあまり目立たない分野のPB商品も多く見られる。

 ガソリンの高騰によって、車でスーパーに行く代わりに近くのコンビニに行く人も増えており、「立地によってはコンビニがスーパーの役割も担うようになっている」(ローソン)。地域によってタイプの異なる店舗を展開しているローソンでは、主婦が多い都心の住宅街や地方の高齢者が多い地域でPB「バリューライン」が好調。「手ごろな価格に加えて、量が少ないことも大きい。核家族化が進むなかで“適量感”が支持されている」(ローソン)という。既存店売り上げが落ちているコンビニとしては、「売り上げを伸ばすために、客層の拡大が重要な課題」(ミニストップ)。今後もニーズのあるエリアでは、PB導入がさらに進みそうだ。

売れ筋は食パンや調味料

 コンビニで売れているPB商品は何か。セブン-イレブンで売れているのは「スイスロール」「ご飯3連パック」「冷凍食品」などで、値ごろ感が魅力だという。ミニストップでは食パンが好調。これはNB商品の値上げの影響が大きいようだ。ローソンやミニストップでは、コンビニではあまり目立たなかっためんつゆなどの調味料が売れている。また、飲料では大容量のミネラルウォーターも好調だ。

 全体的な傾向としては、「ブランド志向がないジャンルはPBのほうが売れているケースが多い」(ミニストップ)という。逆にいうと、チョコレート菓子やスナック菓子といったブランド志向が顕著なジャンルでは、NBが依然として強い。商品サイクルが早いコンビニのもつ「トレンド発信源」としての機能はNBが引き続き担い、PBはユーザーがスーパーに求めるニーズに応える商品としてポジションを築きつつあるようだ。

(文/山下奉仁=日経トレンディネット)

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