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2008年07月26日(土) 10時00分

【トレンド】「土用の丑の日」に食べてください!——台湾産ウナギ日本市場キャンペーン始まるnikkei TRENDYnet

「土用の丑の日」といえども、今年ばかりは何となくウナギに手がのびない…。そんな人も多いのではないだろうか。中国産冷凍ギョーザ事件の激震がやっとおさまったかと思えた頃に、余震のように起こった「中国産冷凍ウナギ産地偽装事件」。農水省も「極めて悪質」と指摘したこの事件はウナギ業界ばかりでなく、日本の消費者のウナギに対する根本的な信頼感までも大きく揺るがした。

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 そんな状況に危機感を募らせているのが、台湾産ウナギの関係者。台湾のウナギ養殖は今から40年以上も前に始まり、日本以外の国では一番歴史が古い。最近でこそ中国産に逆転されているが、日本への輸入量が全体の7割を占めた時期もあり、現在でも約2割を占めているのだ。

 ウナギの大量消費が期待される「土用の丑の日」は、今年は7月24日と8月5日だ。そのXデーを翌週に控えた7月18日、台湾のウナギ業界の代表者が急遽、そろって来日。都内のホテルで、「台湾産ウナギに関する記者説明会」を開催した。注目の食材だけに、会場には100人を越す取材陣が殺到。主催者側は、台湾産ウナギと同じものを都内ウナギ屋で焼きあげた「ウナギ弁当」を120食分用意し「味の面でも国産と遜色がないことを、ぜひ自分の舌で実感して欲しい」とPRに懸命だった。

ほぼ100%が、天然の環境とほぼ同じ「露地池」養殖

「台湾産ウナギは安全でおいしい」と関係者が言い切る理由の一つが、恵まれた養殖環境。養殖が行われている台湾南部は、気候が温暖で晴天が多く、地下水が豊富。その地下水は黒潮の影響で一年中、水温が高めに安定している。そのため養殖用のハウス設備の必要がなく、平均500坪〜3000坪という広大な露地池で養殖している。日本で行われているハウス養殖と比較すると、ウナギ1匹当たりの面積は10倍以上。ゆったりとした環境で育つ分、ストレスが少なく免疫力が高く病気になりにくい。だから薬物の使用も抑えられるという。餌も、植物プランクトンを自然発生させ、食物連鎖で小エビや小魚を発生させるなど、ほぼ自然に近い状態で与えている。「ハウス養殖では24時間餌を食べさせて早く成長させるが、台湾では自然の環境と同じ1日1食。時間をかけてゆっくり育てているから味がいい」と主催者は力説した。

 一口に養殖ウナギと言っても、人工的なハウス養殖と自然な環境に近い路地池養殖との違いがあることはあまり知られていない。私自身これまでは、養殖ウナギでも国産が一番安心と思い込んでいたが、必ずしもそうは言い切れないようだ。

ウナギ専門の検査センターで厳重な検査

 台湾産ウナギの安全性について台湾側がもう一つ自負しているのが、厳しい品質管理体制。「台湾では巨額の設備投資をして、20年前に24時間体制のウナギの検査センターを造った。単一の食品の検査のためにここまでする業界はほかにない」(台湾鰻蝦輸出業同業公会 理事長 黄 萬益(こう まんえき)氏)。

 5年前にいち早く、ウナギの生産トレーサビリティ(記録物により製品の製造履歴・所在などを追跡する方法)の導入に動いてもいる。出荷する前には生産履歴書や生産日記の提出、サンプル検査を含めた2段階の検査があり、その合格証がないと輸出の申請はできない。それ以外にも政府による不定期の抜き打ち検査、日本に輸入されてからも厳重な検査がある。養殖に当たっては日本で許可された8種類の薬物しか使用しておらず、違反率もかなり低く全体の0.07%程度しかないという。

産地表示方法にも、改善の動き

 身近な食材だけに、最後の質疑応答コーナーでは記者から、「店で食べるとき、どうしたら台湾産であることが確認できるか」「店で産地を聞いても、『国産』としか答えてくれないことが多いが、それを確かめる方法はあるか」など、実感のこもった質問が飛んだ。これに対して関係者が、「輸入段階では産地の表示が義務付けられているが、日本国内の流通段階は、表示が義務付けられていない」と背景を説明。日本鰻輸入組合・副理事長の稲垣信起氏からは、「今後は末端の蒲焼屋さんにまで、きちんとした産地表示をしてもらえるよう働きかけたい」との発言があった。

 また資源活用の面から、今後の台湾ウナギ養殖に期待する声も聞かれた。「石油を消費する日本のハウス養殖は、今後、難しくなっていくと考えられる。自然を生かしたエコ・ウナギ養殖を日台で協力して考えていきたい。限りある資源を生かして、日本でも地球にやさしいウナギ養殖を目指したい」(全国淡水魚荷受組合連合会 会長 鈴木紘彦(きよひこ)氏)。

(文/桑原恵美子)



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