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2008年07月25日(金) 12時12分

炎天下、厚生労働省前に障害者約200名オーマイニュース

 7月23日、炎天下の中、厚生労働省前に東京を中心とする障害者等が約200名集まった。障害者自立支援法の早期見直しを要求するためだ。

 障害者団体は先月、衆参議員会館を訪れ、特に与党の厚生労働委員会の理事を中心に電撃訪問を敢行。自立支援法に対する現状を訴え、それに続いて今回の厚労省との交渉、および、抗議行動となった。

 自立支援法は3年前の小泉政権時、郵政民営化のドタバタで一度廃案になった。その後、総選挙で与党の圧倒的多数により、多くの当事者の怒号と悲鳴が渦巻く中、強行的に法案化されたという経緯がある。

 しかし、障害者の所得の低さや作業所などへの補助金が日払い制に変わるなど、多くの問題を内包されていたために、3年後、それらの問題点を見直すという附帯(ふたい)決議が盛り込まれ、その見直しの時期が今年の10月に迫っている。

 今回の主な要求項目としては、大きく分けて次の4つだ。

(1)地域生活の基盤整備

・多くの障害者がより多くの介助時間数を確保するため、重度訪問介護という部類の介助を受けているが、その単価が1550円前後(事務費やその他経費込み)と安いため、ヘルパーの確保が難しく、利用者が必要とするニーズに対応できない事態が起きている。そのため、報酬単価の引き上げを求めている。

・精神科病院や入所施設からの地域移行を目指し、07年4月から「精神障害者退院支援施設」を実施させたが、実際には同じ病院内にその区域を設けただけで、地域移行にはなっていない。地域移行促進を図るための精神障害者退院支援の拡充。当事者サポート事業の必須化、および住居の確保、精神障害者介助の充実など。

(2)障害者自立支援法の見直し重点項目

・自立支援法附則(ふそく)および附帯(ふたい)決議をふまえて当事者を交えた形で、発達障害や難病患者のように「障害者手帳」の有無にかかわらず、すべての障害者が利用できる制度へと検討を進める。

・現在の障害区分は画一的なものであるため、本人の意向を尊重した受給決定に見直す。

・自立支援法では、居宅介助も義務的経費となったが、1日4時間当たりの制限があり、事実上の上限となってしまっている。それ以上介助時間を必要とする場合は、市町村が負担することになったため、負担増を恐れる市町村の障害者は存亡の危機に追いつめらている。利用実績の1/2を国が支弁する仕組みにする。

・移動支援が居宅支援から切り離され、義務的経費ではなくなった。これにより市町村によっては十分に出せていないため、個別給付とし、義務的経費とする。

・知的障害者・精神障害者には、その多くが居宅内の家事援助しか給付されていない。知的障害者・精神障害者の自立を切り開くためにも重度訪問介護を認めること。

(3)特定疾病は40歳、そのほかの障害者は65歳から介護保険優先

・まず、以前、記事「障害者の闇6」「障害者の闇6.5」で書いた介護保険への移行問題を参考にしてほしい。

・所得保障の問題は、障害の有無にかかわらず、同等の生活を維持していくために、知的障害者や精神障害者にも年金・手当の充実や生活保護制度、住宅手当といったセフティーネットの強化と拡充を要すること。

(4)当事者参画による検討について

・専門家や親だけではなく、さまざまな当事者の声を十分反映させるため、審議会などに必ず当事者を参画させること。

 以上の4点であった。言われてみれば当たり前と言えば当たり前なものばかりである。自分たちのライフスタイルが他者によって決められ、金ありきの制度で締め付けられるとしたら、それは、まさしく“障害者はあってはならない”という優性思想であり、社会の崩壊へとつながりかねない。

 社保庁のずさんな年金管理問題、後期高齢者問題、殺人や格差問題、自然災害の波間であえぎもがいている障害者の問題を表面化させるには、どうしたらよいのだろうか……。

(記者:関根 善一)

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