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2008年07月25日(金) 14時27分

【ストーカー判事初公判】論告要旨「被害者の心情もてあそび、悪質」産経新聞

 検察官が法廷で読み上げた裁判官、下山芳晴被告に対する論告求刑の要旨は以下の通り。

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 ■事実関係
 公訴事実は、公判で取り調べ済みの証拠によりその証明は十分である。
 
 ■情状
 ・本件の犯行態様は、第三者を装った匿名のメールという方法で、約1カ月間にわたり被害者の行動を監視していると思わせるような事項を告げ、義務のないことを行うよう要求し、被害者の名誉を害する事項や性的羞恥心を害する事項を告げるという執拗(しつよう)なものである。
 下山被告は、これらのメールを送信する一方で、メールを恐れ困惑した被害者から相談を持ちかけられたのをよいことに、親身に応えるかのように装って、一緒に犯人を捕まえようとする演技まで交えつつ、被害者の心情をもてあそんでいた。
 犯情は悪質で、下山被告が犯人と知った際の被害者の衝撃は余りあり、被害者が下山被告に対する厳罰を求めているのも当然である。
 ・下山被告は「恋愛感情を充足する目的」があったことを一応認めているが、実際は捜査と公判を通じ、要するに「そのような目的があったものと評価されることに異議はない」という消極的かつあいまいなものに止まっている。しかし、これはこの種ストーカー事件を行う者に特有のもので、相手方の拒否的言動を認識しつつ、その心情には無頓着で無自覚な人格態度の表れとも認められ、下山被告による犯行の根深さは明らかである。
 ・折からの司法制度改革の流れの中、現職の裁判官によるストーカー行為という犯罪が社会に与えた衝撃は大きく、司法制度に対する国民の信頼が損ねられた程度については計り知れないものがある。
 下山被告については厳罰に処する必要がある。

 ■求刑
 以上の諸事情を考慮し、下山被告を懲役6月に処するを相当と思科する。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080725-00000955-san-soci