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2008年07月25日(金) 08時31分

「両親困らせようと」 八王子通り魔 鑑定留置を検討産経新聞

 東京都八王子市の書店で女性2人が殺傷された事件で、殺人未遂容疑で逮捕された会社員の菅野(かんの)昭一容疑者(33)=同市川口町=が警視庁捜査1課の調べに「悩みを最後まで聞いてもらえず、両親を困らせようと思った」と供述していることが24日、分かった。書店で無差別殺人に至った経緯や犯行状況の説明があいまいなため、検察当局は責任能力を確認するため東京地裁に鑑定留置を請求する検討に入った。

<<写真で見る>>八王子通り魔事件の現場

 菅野容疑者は現場に財布などを放置し、逃走意思がなかったことも判明、捜査1課は家族に犯行を誇示する目的があったとみて追及する。同課は、容疑を殺人と銃刀法違反に切り替えて東京地検八王子支部に送検した。

 調べでは、菅野容疑者は5月に板金・加工会社に就職したが、けがで休職。9月に復帰予定だったが、「職場の人間関係に不満が募り、両親に相談したが、相手にされなかった」ため、犯行に及んだと供述。「最近あちこちで通り魔事件が起きており、刃物を使えば簡単に殺せると思った」とも話している。

 菅野容疑者は22日昼過ぎに自宅を出て、約8キロ離れた現場の京王八王子駅ビルまで歩いた。現場周辺で凶器の包丁を購入したが、すぐには犯行に及ばず、書店に入ってからも1時間歩き回っていた。

 菅野容疑者は中央大4年の斉木愛(まな)さんら2人を刺した後、カウンターの女性に近づくなど、しばらく店内にとどまっていた。現場に現金や身分証明書が入った財布も放置しており、捜査1課は逃走の意思がなかったとみている。

 ただ、犯行場所に書店を選んだ理由や店内を歩き回った点をただすと、菅野容疑者の供述は不明瞭(めいりょう)で、犯行時の状況も明確に説明できない状態が続いているという。

 東京・秋葉原の無差別殺傷事件でも、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)の鑑定留置が東京地裁に認められ、現在、鑑定が行われている。

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