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2008年07月25日(金) 13時26分

ガス給湯器や扇風機… 身近な製品に潜む危険産経新聞

 ■経年劣化対策で新制度 消費者も意識改革を

 身近な生活用品をめぐる事故が後を絶たない。設計ミスや製造・施工不良の一方で、消費者の誤使用や不注意、さらには長期使用による経年劣化など事故の原因はさまざま。メーカー側に十分な安全対策が求められるのは当然だが、消費者としても身の回りの製品に潜む危険性を認識しておきたい。(伐栗恵子)

 相次ぐ製品事故。昨年5月に改正消費生活用製品安全法(消安法)が施行されてからの1年間で、経済産業省に報告のあった重大製品事故は1346件にものぼる。

 消安法は、パロマ工業製ガス瞬間湯沸かし器による死亡事故で、消費者への注意喚起の遅れが被害を拡大させたことを教訓に改正された。メーカーには重大製品事故の発生を知った日から10日以内に、国に報告するよう新たに義務づけた。

 重大製品事故とは、死亡、重傷(治療期間が30日以上)、火災、一酸化炭素中毒、後遺障害のいずれかの被害が出た事故のこと。誤使用や不注意によるものも含まれるが、1日に約3・7件もの重大事故が起きている計算になる。

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 長年使い慣れた製品が突然、牙をむくこともある。

 東京都内で昨年8月、扇風機から出火し、就寝中の老夫婦が死亡する火災が起きた。37年間使用していた扇風機のコンデンサーが絶縁劣化を起こし、モーター部の温度が異常に上昇して発火したのが原因だった。

 ところが、古い扇風機による火災はこの1件だけではなく、さらに他の老朽化した製品でも重大事故が判明。このため、改正したばかりの消安法を再び改正することになり、経年劣化対策が盛り込まれた。それが来年4月からスタートする「長期使用製品安全点検・表示制度」だ。

 ガス瞬間湯沸かし器や石油給湯器など老朽化により重大事故を招くおそれのある9製品については一定期間が過ぎたら消費者に点検時期の通知を、経年劣化事故の多い扇風機やエアコンなど5製品については長期使用時の注意喚起を促す表示を、それぞれメーカーに義務づけた。

 とはいえ、引っ越しで所有者が変わるといった問題もあり、制度がうまく機能するかどうかは不透明。さらに、消費者からは悪質商法の一つである「点検商法」に新制度が悪用されることを危惧(きぐ)する声もあり、その対策も求められる。

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 「モノ」には寿命があり、いつかは壊れる。頭で理解はしていても、消費者心理としては、「ちゃんと動いているから大丈夫」と思いがち。だが、動いているから安全だとはかぎらないことを、経年劣化事故は証明している。

 「古い製品を使い続けるのならば定期的に点検を。使用する際には、いつもと違う点がないか気をつけてほしい」と、製品事故の情報収集や分析などを行っている独立行政法人「製品評価技術基盤機構(NITE)」は注意を呼びかける。

 例えば扇風機では、(1)モーターがうなるような異常音がする(2)焦げ臭いにおいがする(3)モーターが異常に熱い(4)スイッチを入れても羽根が回転しない(5)羽根の回転が遅い(6)回転がぶれる−が安全のチェックポイントだ。このうち1つでも該当する場合は、すぐに使用を中止し、販売店やメーカーに連絡して点検を受けた方がいい。

 「製品のリスクに敏感になり、安全意識を高めてほしい」とNITE。消費者側の意識変革も迫られている。

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