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2008年07月25日(金) 20時09分

不振続く東証マザーズ LD事件の後遺症引きずる産経新聞

 東京証券取引所の新興市場マザーズは、上場していた旧ライブドアの粉飾決算が発覚した平成18年1月以降、投資家離れが急速に進み、いまなお地盤沈下に歯止めがかからない。「成長神話」に振り回されて資金を投じ、見事に裏切られた投資家の怒りの大きさを物語っているかのようだ。
 市場全体の株価水準を示すマザーズ指数は、ライブドアに強制捜査が入った18年1月16日の2799ポイントから暴落し、現在は5分の1以下の500ポイント台にあえぐ。事件が招いた投資家の市場不信の後遺症であることは確かだ。ただ、マザーズに回復の兆しがみえないのは、「ライブドアショック」で露呈した市場構造のジレンマとも関係がある。
 新興市場とは、経営の安定性には欠けるが、成長を期待されるベンチャー企業に、株式公開で資金調達の機会を与えるのが役割だ。おのずと上場基準は低く設定された。だが、事件をきっかけに東証はマザーズの上場審査を厳格化した。
 企業の株式公開を支援する証券会社も上場申請に慎重になり、新規上場企業数も平成16年の56社をピークに頭打ちだ。昨年は23社、今年は6月末でわずか7社に激減。投資家保護の厳格な審査が、市場の活力をそぐ状況に陥ったのだ。
 さらに、巻き返しを狙ったアジアの成長企業の上場誘致も裏目に。昨年4月、中国本土企業初の上場と話題を集めたアジア・メディアのCEO(最高経営責任者)による不正資金流用が6月に発覚した。マザーズの上場品質管理に対する投資家の不信が再燃した。
 業界内には「いまは新興市場への過剰な期待がはげ落ちただけ。上場企業の質が磨かれれば投資家も戻る」(大手証券)との楽観的な見方もある。
 ただ最近では、景気減速により上場ベンチャーにも経営悪化の危機が忍び寄る。リスクの高い投資を手控える風潮から、6月の新興市場の月間売買代金は一年前の半分となる5105億円に落ち込み、低迷に拍車がかかっている。
 ライブドア事件から2年以上がたっても、マザーズの苦悩は深まる一方だ。

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