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2008年07月24日(木) 12時10分

自転車の法律ってむずかしい!?オーマイニュース

 先日、このサイトで「自転車の傘さし運転」と6月の道路交通法改正についての記事が掲載されていました。(参照: 傘差し運転がなくならない

 コメント欄での色々な意見を読み、「実際の所どうなのか?」と思って警視庁広報部に問い合わせました。「オーマイニュースの市民記者」と身分を明かし、「記事になるかも知れない」と伝えた上で電話取材しました。

 まず、今回の道路交通法改正のポイントですが、自転車走行については、緩和されたようです。「今回の改正によって、取締りを始めるのではない」と強調していました。

 自転車はもともと、道交法上では「軽車両」です。従って、「車道の左端を一列になって走行する」ことになっています。それが、今回の改正で歩道走行が一部緩和されました。具体的には、

・6歳以上13歳以下の児童及びそれ未満の幼児が自転車に乗る場合。
・70歳以上の高齢者が自転車に乗る場合。
・身体障害者福祉法によって認められた障害者が自転車に乗る場合。
・車道が著しく危険な場合

は歩道を自転車が走行しても良い──となったそうです。今までは、自転車は「車両」なので、標識で許されていない限り、歩道は「走行不可」でした。

 ただし、歩道走行の場合、原則徐行で、歩行者の妨げになる場合は「一時停止」し、歩行者がいない場合は「安全と認められる速度で通行する」となっています。

 以下の3件は改正前から違反事項で、これらが原因で事故を起こした場合「安全運転義務違反」で検挙対象になるそうです。

・傘さし運転
・携帯電話を使用しながらの走行
・イヤホーン等で音楽を聴きながらの運転

 また、

・飲酒した上での自転車の運転
・無灯火運転(点滅型ライトも無灯火扱いだそうです)
・右側通行

の3つは即道交法違反となるそうです。

 自動車の場合、免許制度と行政処分制度がありますが、自転車の場合、それらがありません。したがって、「年齢に関係なく検挙されることもある」のだそうです。

 たとえば、夜、イヤホーンで音楽を聴きながら、無灯火で走っていた自転車が、歩行者に衝突し、怪我をさせてしまった場合、自転車に乗っていたのが高校生であっても逮捕(中学生以下の場合、補導)はありえます。

 ここからが多少難しい点ですが、これらの運用は基本的に「各都道府県の公安委員会の決定に任されている」のだそうです。

 例を挙げると、広島県では、自転車に傘さし補助具を取りつけることは条例で全面禁止となっています。しかし、警視庁広報によると、このような条例のある都道府県はまだなく、したがって「岡山県の人が雨の日に、傘を自転車に取り付けて走っていて、県境を越えて広島県に入ったら条例違反で検挙、と言う事態もありえる」のだそうです。

 日本は法治国家です。「知らなかったから仕方ない」は通用しない、とのことなのでしょう。自転車の違反走行、特にイヤホーン使用運転に関しては、これまで違反にもかかわらず、取り締まりの体制不在だったため、運転する側も、「違反と知っているけど、どうせつかまらないから」と考える人が多かったようです。

 そこで、しっかり取締りをしましょう、としたのが6月からの警察の考え方なのだそうです。「道交法改正(自動車後部座席のシートベルト義務化など)と重なったため、自転車に関することも改正されたと誤解されている」と警視庁広報の方は言っていました。

 取締り強化の部分が周知できていなかった、と言うのが実情のようです。

 車と同じくらい危険な存在になりうる自転車は「車」なのだと自覚して乗らないといけない、と再確認できた電話取材のレポートを終わります。

(記者:小川 文彦)

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