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2008年07月24日(木) 12時08分

通販よりも伝えて欲しいものオーマイニュース

 7月16日、朝日新聞(西部13版)の1面は、橋田正城記者による署名入りの記事を載せていました。「総務省 広告に苦情増で BS新規参入分 通販番組量制限の方針」と言う、トップ扱いの記事です。

 わが家にはケーブルテレビが入っていて、衛星系のチャンネルをよく見ています。民放BSもよく見ていますが、通販が多いことを気にしていただけに、橋田記者が伝えた総務省の方針に同調したいとは思っています。しかし、今になってどうして、総務省がこうした方針をとらなければいけないのでしょうか?

 民放に欠かせないコマーシャルはともかく、今回の規制の話が出た背景には、「通販番組が多過ぎる」と言う苦情の数々がありそうです。

 総務省が、有料放送を行っているWOWOWやスターチャンネルを除く民放BS各社の番組表を元に調べたところ、その放送時間の4割から6割は、通販番組だったことがわかりました。

 通販専門チャンネルQVCのハイビジョン放送がメインの「トゥエルビ」をはじめ、民放BS各社は経費削減と収益の確保のため、多くの時間を通販番組に割いていますが、放送時間に占める割合が多過ぎます。民放は物だけを延々売るのではなく、番組のために時間を使うべきでしょう。

 地上波で過去に放送されていた番組も、その一部は民放BSで流してくれていますが、地上放送各社の経営に配慮しているのか、地上波全国ネットの番組を同時にやっているケースは、実に少ないんです。

 民放BSの多くは番組の権利者をかねる東京キー局主導で運営されています。しかも、地上波のネット局や製作者側の権利が優先されている現状から察するに、全国どの市町村からでもアクセスできる民放BSの特徴が、半ば台無しになっていると、私には思えてなりません。

 私が民放BSをよく見る理由のひとつは、BS向けの凝った番組が多いからでもありますが、東京からの発信だけでなく、もう一工夫ほしいとも思っています。

 例えば山口放送テレビは、毎年12月の「防府読売マラソン」を生中継しています。地上波の場合は大阪から西の日本テレビ系でしか放送がありませんが、民放BSのBS日テレが全国に向けて同時放送しています。

 BSフジで土曜日のお昼に放送している「わがまま気まま旅気分」も、フジテレビ系各社が製作しています。

 このように、地方の民放各社にも、番組を全国すべての市町村に発信できる民放BSを生かす取り組みが求められてよいはずです。

 2000年代に入り、テレビを見ている人の多くが民放BSにアクセスできる時代を迎えていますが、通販やコマーシャルなどの広告が多い反面、地方の声がまだ不足しています。

 BSデジタル放送にアクセスできるテレビやレコーダーは、現時点で全国におよそ3000万台。これはCS放送やケーブルテレビの視聴者を大きく上回る数です。

 民放BSには専門的な番組が放送されていると言う利点もありますが、ローカル番組の魅力を全国に届けられると言う意味で、まだまだ可能性を持っているはずです。

 民放は営利事業ではありますが、多様性のある番組を届け、後から付いてくるのが本物なのではないでしょうか?

(記者:河村 崇)

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