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2008年07月24日(木) 12時09分

<八王子殺傷>放心状態で歩く菅野容疑者…高校生が目撃毎日新聞

 東京都八王子市の京王八王子駅ビルで22日夜、斉木愛(まな)さん(22)=中央大4年=ら2人が殺傷された事件で、現場となった書店に居合わせた客の高校生が、毎日新聞の取材に応じた。凶行に及んだ後、放心状態で歩く会社員、菅野昭一容疑者(33)の様子などを語った。

 証言したのは、同市内の都立高3年の男子生徒(18)。生徒は22日午後9時ごろ、駅ビルショッピングセンター9階の「啓文堂書店」に入った。8階から下は9時で閉店する。「9階は10時で閉店します」。館内放送が流れた後だった。

 レジの女性店員2人がおびえたように逃げるように見え、店内がざわついた。本棚の陰から出てきた男が、右手に包丁を持ち通路を横切った。菅野容疑者で、白いワイシャツにカーキ色のチノパン姿だった。

 「強盗か」。一瞬思った。しかし視界に入ったのは、数メートル先の雑誌コーナーの本棚の前に刺されて倒れている女性だった。斉木さんだった。

 菅野容疑者は、本棚の横を通った後、レジの前を横切り、エスカレーターの方に歩いていった。下りは既に止まっていたため、エレベーターに向かったとみられる。刺されたもう1人の女性客(21)は自力で上りのエスカレーターにたどり着き、10階で飲食店の男性に救助された。

 菅野容疑者について、生徒は「とぼとぼと歩き、力強さはなかった。目線はレジの方に向けていたが、ぼんやりした感じ。包丁は腹の前に突き出す感じで持っていたが、力なく握っているようだった」と話す。

 店内にいたのは、店員と客合わせて10人前後。すぐ警備員が駆けつけ、斉木さんの周りで、3人くらいの店員が「斉木さん!」と何度も叫びながら介抱していた。

 「当時何も考えられず、その日は、あの光景が浮かび夜も寝られなかった」と振り返った。【堀智行、杉本修作、山本太一】

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