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2008年07月24日(木) 11時25分

岩手北部地震 未明に激震、不安広がる…震度6強の洋野町毎日新聞

 未明の東北地方を激しく揺らした岩手北部地震は、夜が明けて被害が次々に明らかになり、けが人は約100人にのぼった。1カ月余り前の地震からの復興途上で被害に遭った岩手、宮城両県や今回被害を受けた青森県の被災地に記者が入った。いつになったら地震から逃れられるのか。不安が広がっていた。

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 今回の地震で最大の震度6強を記録した岩手県洋野(ひろの)町に着いたのは24日未明。発生から約2時間半後だった。まだ暗く、すぐには被害の様子は分からなかったが、町内を歩くと徐々に傷跡が見え始めた。

 同町種市の「おおた食堂」店主、太田典克さん(41)が大きな揺れに襲われたのは、土用丑(うし)の日を前にうなぎの仕込みを終え、布団に入った直後だった。「びっくりして細かいことは覚えていない。とにかく長かった」と食器を洗いながら振り返った。

 1階の厨房では、食器の多くが床に落ち、無残な姿に。宴会場のモルタル外壁も一部がはがれた。「割れた食器の枚数もまだ数えられない。建物の安全を確かめないと営業もできない」と悲痛な表情で語った。

 町役場大野庁舎には56人の全職員が登庁。被害情報を収集した。建物に亀裂が入った庁舎内で男性職員は「一度、ドーンと大きな縦揺れがきて、10秒くらいした後、もっと大きな下から突き抜けるような揺れがきた。怖かった」と話した。

 明るくなってくると、住民たちは屋外に出て、自宅周辺の様子を確かめ始めた。

 種市に住む主婦、三上エイ子さん(70)方は、家の周りのブロック塀の上段が崩れた。「揺れたというより、下から持ち上げられるよう衝撃が1回、それからわさわさと揺れが来た。寝ていたけど飛び起きた」と話した。

 近くの種市体育館では、ガラスやコンクリート片が床に散乱していた。町教委の担当者は「明日から夏休みに入る学校が多い。毎日のように20、30人の子どもが遊ぶが、これでは危なくて使えない」とつぶやいた。

 けが人は出ているものの、幸いに死者の情報はなく、岩手県内や青森県から派遣された陸上自衛隊員も待機状態。日赤岩手県支部の職員は「これから増えるかもしれないが、震度の割に被害が少なかった」と話していた。【山口圭一、喜浦遊】

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