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2008年07月23日(水) 20時17分

通り魔は「パンパンに膨れあがった風船」 識者、八王子と秋葉原の共通性指摘産経新聞

 何ら落ち度のない人々に刃が向けられる無差別殺傷事件が、今年に入って続発している。なぜ「悪夢」は繰り返されるのか。仕事絡みの不満、社会への責任転嫁…。複数の専門家は東京・八王子で女性2人を殺傷した菅野昭一容疑者(33)について、東京・秋葉原の連続殺傷事件を起こした加藤智大(ともひろ)被告(25)との“共通項”を指摘した。

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 新潟青陵大学の碓井真史教授(臨床心理学)は、これまでに無差別殺傷事件を起こした容疑者について「いまにも割れそうにパンパンに膨れあがった風船」と表現する。「ストレスがたまり、ちょっとしたことで爆発する」状態を指す。その上で「菅野容疑者と加藤被告の境遇は似ている」とする。
 派遣社員だった加藤被告は職場への不満を募らせた結果、「つなぎがない」という些細(ささい)な理由をきっかけに凶行に及んだ。試用期間の菅野容疑者は「仕事がうまくいかず、むしゃくしゃしていた」と供述した。碓井教授は「収入が安定せず、将来の不安からストレスを募らせたことも考えられる」と予測する。
 「仕事のことで家族とトラブルになった」と供述した菅野被告。一方の家族は「相談はなかった」と話し、食い違っている。碓井教授は「本人が思っているような親切な対応でなかったとか、身勝手な思いこみが原因では」と分析。「まるで思春期の子供のような悩みで、33歳にもなって極めて未成熟。フリーター生活が長かったようだが、彼は本当の意味での社会に出ていなかったのではないか」と述べた。
 ジャーナリストの大谷昭宏さんも、菅野容疑者の供述などから秋葉原事件との類似性を指摘した上で「自分がうまくいかない理由を社会に転嫁しており、身勝手で甘ったれている」と甘え型の犯行と断じた。
 また、元検事で旧総理府青少年対策本部参事官も務めた田代則春弁護士は「将来に不安を感じ、自暴自棄になる一方、目立ちたいという意識から秋葉原の事件を模倣したのではないか」と指摘。実際、菅野容疑者は「大きな事件を起こせば、自分の名前がマスコミに出るようになると思った」と話しており、携帯サイトに「やりたいこと…殺人 夢…ワイドショー独占」と書いた加藤被告と同じ感覚といえる。

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