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2008年07月23日(水) 22時06分

「大きな事件なら名前が出る」と供述 東京・八王子の殺傷男中国新聞

 二十二日午後九時四十分ごろ、東京都八王子市明神町、京王八王子駅ビル九階の啓文堂書店京王八王子店で、刃物を持った男が、アルバイト店員の中央大四年斉木さいきまなさん(22)=八王子市打越町=を刺して逃げた。

 斉木さんは左胸を刺されており間もなく死亡。失血死とみられる。近くにいた女性客で大学生原田夏希はらだ・なつきさん(21)も胸を刺され負傷したが、命に別条はないという。

 約三十分後、八王子署員が現場から約四百メートル先のJR八王子駅近くで不審な男を発見。職務質問に「わたしが刺しました」と話したため、無差別殺傷事件とみて、斉木さんに対する殺人未遂容疑で八王子市川口町、会社員菅野昭一かんの・しょういち容疑者(33)を逮捕した。

 警視庁捜査一課と八王子署の調べに対し「仕事がうまくいかず、両親も相談に乗ってくれなかった。むしゃくしゃしてやった。無差別に人を殺そうと決意した。誰でもよかった」と供述。「大きな事件でも起こせば自分の名前もマスコミに出ると思ってやった」とも話したという。

 襲われた二人は菅野容疑者と面識はなかった。捜査一課は殺人容疑に切り替えて調べる。

 菅野容疑者の父親(69)は八王子市の自宅前で取材に応じ「(息子が)住んでいるのはここではない。SOSはなかった。相談なんかなかった」と話している。

 調べでは、菅野容疑者は、書店の入り口近くにいた斉木さんの胸を正面から包丁で一回刺した疑い。凶器は刃渡り約十五センチの文化包丁で、逃走ルートとみられるビルのエレベーター内に落ちていた。

 事件前、八王子市内の百円ショップで包丁を買ったと供述したという。診察券などが入った菅野容疑者の黒いリュックサックは書店に残っていた。書店の営業終了は午後十時だった。

 都内では六月、男が秋葉原の交差点にトラックで突入し、ダガーナイフで刺して七人を殺害、十人に重軽傷を負わせる無差別殺傷事件が起きたばかり。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200807230369.html