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2008年07月23日(水) 08時51分

駅ビル書店通り魔 『助けて』叫び逃げる客東京新聞

 「助けて−」。二十二日夜、東京都八王子市中心部にある京王八王子駅ビル内は、通り魔事件とみられる凶行の現場に一変した。腹部から血を流しながら運び出される書店の女性店員。「秋葉原の事件があったばかりだが…」。駅ビル前の入り口には立ち入りを禁じるテープが張られ、遠巻きに見守る大勢の買い物客や通行人らで騒然となった。

 ビル八階に勤務する男性(43)によると、午後九時半ごろ、上階から女性客とみられる数人が「キャア」「助けてー」とものすごい悲鳴を上げながら逃げる足音が響いてきた。

 男性が非常階段から九階に上がると、啓文堂書店の書棚と書棚の間に、エプロン姿の女性店員がうつぶせに倒れていた。左脇付近を刺されたようでひどい出血だった。「うーん」とうなったきり言葉が出てこなかった。同僚が必死に介抱し、そばにいた店長は「犯人に殴られた」と話していた。犯人は既に逃げた後だったという。

 男性は「本当に恐ろしかった。助けることができなくてつらいです」と唇をかんだ。

 ビル前にいた同市内の自営業の男性(41)は「女性がおなかの辺りから血を流して運ばれていった。手足が少しだけ動いていた」と興奮気味。「秋葉原の事件があったばかりで八王子のイメージが悪くなるのは嫌だ。類似の事件が続かなければいいが…」と不安げに話した。

 事件は午後十時の閉店間際に発生。現場となった書店がある九階に友人がいたという同市内の無職男性(23)によると、刺された女性店員は心臓マッサージを受けていた。もう一人の女性は一階からすぐに救急車で搬送されていった。

 この男性は京王八王子駅から南西のJR八王子駅方向に急いで向かう警察官を見た。その直後、警察官が若い男を現場で取り押さえたという。

(東京新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008072390070323.html