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2008年07月23日(水) 18時30分

東京ヤクルトと広島カープ、チーム力の差オーマイニュース

 3連休、神宮球場で行われた東京ヤクルト対広島の3連戦で、広島は今季初の同一カード3連敗、そして今季ワーストとなる5連敗を喫して借金を6にまで膨らませた。反対に東京ヤクルトは4連勝で一気に勝率5割にまで到達した。実は20日の試合は広島から神宮球場まで期待して見に行ったが、試合は序盤に広島が3点リードしながら追いつかれて、結局は4−3で逆転負けした。

 久しぶりに会って一緒に見に行った東京在住の広島ファンの友人は試合後、「関東地方のファンの中でも『今年は違う』という雰囲気が強く期待していたのだが……」とボヤいていた。実際、この日も、3塁側レフトスタンドは広島ファンで一杯であり、レフトスタンドからの応援は広島市民球場と見紛うばかりの迫力だった。

 東京ヤクルトと広島、この両チームは開幕前、実に似たような立場にあった。両チームともエースと主砲が抜け、戦力は大幅に低下、特にヤクルトの場合、グライシンガー、石井一久、藤井と先発投手が一気に3人も抜けた。当然のようにシーズン前の順位予想では両チームとも最下位予想がほとんどだった。

 しかし、ヤクルトの場合、昨年よりも大健闘している。開幕の巨人3連戦では3連勝を決めた。反対に広島は開幕戦引き分けの後、4連敗と悪いスタートを切った。両チームとも球団財政は楽ではなく大型補強は難しい。この差はなんなのだろうか。

 ひと言で言うと、「チームを変えよう」という意識の差だろう。この日のヤクルトのスターターには外国人選手の名前がなかった。シーズン当初期待していたリグス、ガイエルの両外国人選手は不調のため、思い切って若手選手に切り替えた。「年俸900万の4番打者」と話題になった畠山はその好例である。

 そして高田新体制となった今年のヤクルトの特徴は「走る野球」である。今年から本拠地・神宮球場は両翼100メートルと広くなった。そのため、かつてのエース・藤井をトレードに出し、北海道日本ハムからは川島慶三、埼玉西武にFA移籍した石井一久の人的補償として福地を獲得するなど、走れる選手をかき集めた。福地は21日現在、セ・リーグトップの27盗塁と大活躍だ。チーム盗塁数も12球団トップの84だ。盗塁数ランキング上位には福地、青木などヤクルト勢が並ぶ。

 一方の広島はどうか。ブラウン体制になってから毎年のように「機動力野球」を掲げながらほとんど掛け声だけに終わっている。今年も交流戦でこそ、12球団トップとなる22盗塁を記録したがトータルでは49盗塁。トップの天谷はやっと10盗塁である。

 そして広島ファンから見て、もっとも不可解なのは打てない外国人選手・シーボルをいつまでも使い続ける点だろう。20日の試合でも攻守両面でチームの足を引っ張っていた。西武のブラゼルのように、打率は低くても一発長打の魅力があるのなら使う理由は分かるが、ホームラン数はわずか7本。広島を出て行った新井の代わりとしては期待外れの成績だ。サードがいないのなら使うのも仕方がないが、昨年阪神から獲得した喜田剛、そして今年、ドラフト3巡目で獲得した小窪哲也など、代わりはいくらでもいる。

 将来を見据えて若手を我慢して使うのなら分るが、打てない外国人選手を使い続ける理由はまったくない。来年は広島新球場がオープンして球場が広くなるが、それに対応したチーム作りは全く見えてこない。

 もっといえば、度重なる選手流出と万年Bクラスににもかかわらず、球団の中に「変わろう」という意識が生まれてこないことも原因だろう。

 いくら熱心なファンが「今年こそは変わる」熱い声援を送ろうとも球団とチームにその気がなければ、声援はぼやきになるだけである。

(記者:長迫 厚樹)

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