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2008年07月22日(火) 14時04分

教員試験合否、私にも県議・市議から連絡があったオーマイニュース

 先週末7月18日付け宮崎日日新聞が朝刊1面トップで、「教員採用試験結果 本県教委も事前連絡」と報じた。

 教育長経験者を含む県教委幹部が、受験者本人に郵送の合否通知が届く前に、県議の照会に応じて、結果を伝えていたというのだ。

 大分県での教員採用汚職事件が連日報道されているので、さほど驚くことはなかったが、記事を読んで、とても気になることがあった。私自身、それを経験していたからだ。

 私は大学4年時に教員採用試験を受けたが不合格だった。そのため1985年春の卒業後は、宮崎市内の中学校で臨時講師をしながら、試験勉強をしていた。

 確か、お盆に入る前、日航機墜落事故が起きたころだっただろう、1次試験の結果が伝えられた。

 が、それは県教委からではなく、地元選出の宮崎市議会議員(自民党)からの電話であった。父が電話に出た。

 「市議会議員さんから、一次試験合格と電話があったよ。でもなんで合格のことが分かったのだろう」。

 父が不審がっていたのを覚えている。市議から父に、他にどんな言葉が伝えられたのかは、思い出せない。もちろん、父はその市議の支持者でも何でもない。

 さすがに2次試験の合格時には、市議からの連絡はなかった。どうせ、選挙区の有権者へのご機嫌取りだろう、ぐらいにしか思っていなかった。

 翌春、勤務地に関しての内定は、3月末のぎりぎりになり、郵送では間に合わないということで、教育委員会から電話で伝えられるということになっていた。赴任予定校の学校長からも電話がかかってくることになっていたため、朝から自宅で待機していた。

 ところが、また、前述の市議から電話がかかってきた。続いて、間をおかず、自民党の県議会議員からも電話がかかってきた。電話を受けたのは、私だった。

 「お宅の息子さんが、日南市立○○小学校に内定しました。おめでとうございます。つきましては、この後すぐに、教育委員会や校長先生からお電話がかかるかと思いますので……」

という内容だった。

 県議のことは覚えている。元自民党県連会長で、公職選挙法違反で逮捕起訴され有罪判決を受けた川添睦身氏である。当時の役職は分からない。川添氏と私は1 度も面識はない。また、私や私の家族が川添氏の支持者であったこともない。私の教員採用に関して、なぜ県議が関わっているのだろうと、不思議に思ったが、やり過ごした。今から思うと、選挙民に対するアピールにしては行き過ぎである。

 その後、宮崎県教育員会、内定先の学校長から電話がかかってきたが、すでに県議によって知らされていたため、肩透かしを食らったというか、電話口で伝えられる赴任先への関心が薄れていた。

 教員に採用されてからは、事前連絡に関わった市議も県議も知らん顔である。当然だろう。

 市議は、その後、2007年4月の県議会選挙へ出馬したが、川添睦身氏の息子に一歩及ばず、落選した。

 先の宮崎日日新聞の報道によると、10数年以上前から事前連絡が行われていたという。私の経験から、1985年、少なくとも23年前には、事前連絡は行われていたことになる。

 宮崎県教育委員会は今回、県議に近い受験者を特別扱いした形になる通知方法は、「便宜供与したと誤解を与える」として、今年の試験から取りやめることを決めたらしい。大分の事件が起きなければこのまま続けていたということか。お粗末な対応である。

 宮崎県庁秘書広報課が担当している「県民の声」には、「きちんと調査してほしい」という意見が寄せられているという。

 3学期制の県内の小中学校では、7月18日から夏休みに入った。2学期制の学校でも23日から夏休みに入る。大分での事件を自分の問題として捉え、休みの機会に、徹底的に調べたほうが良いのではないだろうか。

(記者:大谷 憲史)

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