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2008年07月22日(火) 13時28分

「湖水冷房」で電力も経費も節約COURRiER Japon + hitomedia

地熱を利用した暖房は割と昔からあるが、天然の冷水を利用した冷房という発想は新しい。プロセス自体は地熱を利用する場合と同じなので、同様に経費節約とCO2の削減につながる。
このシステムを導入するにはそれなりの環境条件を満たす必要があるが、その点、オンタリオ湖に面したトロントは好条件に恵まれており、冷水冷房システムのパイオニアとなった。
トロントの場合、全長5・のパイプを3本、オンタリオ湖の水深83mまで延ばし、そこから、一年中4℃に保たれる冷水を吸い上げている。この湖水を、浄水場経由でエリア内のビルに循環させるという仕組みだ。
総工費は2億ドル(約215億円)。建設に4年の歳月を要したが、このシステム導入により年間61メガワットの電力が節約される。トロントのシステムは世界最大規模を誇り、同時に飲料水も確保しているという点では世界で唯一のシステムだ(湖の水は、トロントの飲料水の15%を供給する)。
規模はトロントの約3分の2だが、ストックホルムでは海水を使用した同様のシステムを導入している。ジュネーブも、このシステムの導入を検討中だ。同市は、水深が深く水温の低いレマン湖に面しており、冷水冷房には最適の条件を備えているのだ。一方、東京も水深の深い海に面しているのだが、いまのところ導入予定はないようだ。ニューヨークも一見よさそうだが、近海は浅いのでこのシステムには向かない。
冷水冷房の利点は、節電だけに留まらない。クーラーの室外機はたいていビルの屋上にあるが、これが不要になるため、屋上を緑化できる。

エコノミスト(UK)より

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080722-00000000-cou-int