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2008年07月21日(月) 12時00分

欧米人の寄付金額が日本人より遥かに多い謎R25

374億ドル。日本円にして約4兆円。アメリカの投資家、ウォーレン・バフェット氏が慈善団体に寄付した金額だ。これは桁外れにしても、アメリカ人にとって、収入の1割を寄付することは特別なことではないという話をきく。日本で同じようなことができる人はそう多くないだろう。ボランティアの文化に詳しい天理大学人間学部の渡辺一城准教授によると「出る杭は打たれるという言葉があるように、日本人は横並びを好む傾向にある。だから、一人だけ目立つ額の寄付はしづらいのでしょう。それに、日本は陰徳の文化なので“私が私が”は嫌われ、匿名での寄付が美徳と考えられているんです」とのこと。

確かに、経済企画庁の調査では、寄付をする家庭の割合は日米とも75%前後とほぼ同じ。しかし金額は、年間3000円程度の日本に対して、アメリカは約9万円と30倍以上の開きがある。これは、ボランティアに対する考え方の違いと渡辺氏は言う。

「アメリカでは寄付はボランティアの一部と考えられています。ボランティアの精神をボランタリズムと言いますが、これには“自主性”という意味以外に“自立”や“反権力”といった意味もあります。アメリカは、移民が自ら建国しルールを作り上げてきた(自立)。いわば政府に必ずしも依存せず、自らの力で解決していこうとします(反権力)。コミュニティーづくりは自分たちの責任といった考えが寄付やボランティアを積極的に行う風土を生んだのでしょう」

実際、アメリカでは地区の警察や消防署など公的機関への寄付やボランティア参加は高い割合を占める。日本は「税金を払っているのだから社会保障や公的機関への補助金は国の責任」と考える人が少なくない。

そんな中、『平成12年国民生活白書〜ボランティアが深める好縁〜』には「行政任せではなく、自発的に行動を起こそうとする意識が広がりつつある」との記載が見られた。現在の日本のボランティア人口は25年前の7倍以上。徐々にではあるが、意識は高まってきているようだ。
(R25編集部)

※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです

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