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2008年07月20日(日) 00時51分

外国政府相手の裁判 法案提出へ中国新聞

 政府は十九日、外国政府を相手取った訴訟を日本の裁判所に起こせるケースを明確化する法案を来年の通常国会に提出する方針を固めた。商取引や雇用契約に関する損害賠償請求訴訟など「主権侵害」に当たらない場合に限り認める。

 国際法では、外国政府を被告とする訴訟は取り扱わない「主権免除(裁判権からの免除)」が原則とされてきたが、近年は商取引をめぐるトラブルなどにはこれを適用しないのが国際的に主流になっている。国連は二〇〇四年の総会で提訴可能なケースを列挙した条約を採択しており、政府はこの条約の批准についても国会に承認を求める方針だ。

 米国や英国は既に国内法を整備しているが、未整備の日本では裁判所が個別に判断していたため、これまで訴訟が可能かどうか不明確だった。法務省は九月初旬の法制審議会(法相の諮問機関)に新法制定を諮問、答申を得て法案を提出する。

 新法は国連の条約に準拠した内容になる見通し。外国政府のほか、外国の独立行政法人や中央銀行などが対象となる。訴訟可能なケースは(1)商取引(2)雇用契約(3)交通事故(4)特許や著作権の侵害—などが想定される。外国政府が判決に従わない場合などの強制執行については、大使館の建物や自動車など公用財産は対象外とし、商業目的で保有する不動産や銀行口座などに限る方向だ。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200807200126.html