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2008年07月20日(日) 18時42分

アキバの治安を守れ!つくばエクスプレスに“精悍”な新車両産経新聞

 サブカルチャーの街「アキバ」こと東京・秋葉原と、茨城県の学園研究都市「つくば」を結ぶつくばエクスプレス(TX)。平成17年8月の開業以来順調に利用者数を伸ばし、今年秋のダイヤ改正に向け20日から増備車両4編成(24両)が投入された。運営する首都圏新都市鉄道が「あか抜けたイメージから精悍(せいかん)さを増した」と話す“顔つき”に変身した新車両に期待が高まっている。

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 ■アキバ始発の“新幹線” オタク文化とともに進展

 TXは58・3キロ全線が高架とトンネル、橋で構成されており、踏切は一切ない。高さ2メートルの防音壁、最長18キロに及ぶロングレールを採用し、通勤電車で最速の時速130キロで走行。地下区間が16・3キロに上るため、車両正面には非常脱出用の貫通扉が設けられている。
 自動列車運転装置(ATO)を導入し、全駅に可動式ホームドアを設置。沿線の景色は筑波山が近づくにつれて緑が広がり、コンクリート板を敷き詰めた高架を高速で駆け抜ける姿は新幹線をほうふつさせる。
 当初は東京駅とつくばを結ぶ計画だったというが、「第一種鉄道事業」免許を取得した平成4年に始発駅が秋葉原に決定した。
 沿線自治体などは今も東京駅延伸を求めているが、秋葉原は単なる電気街からオタク文化の発信地として世界に名だたる「アキバ」に発展。開業前は苦戦が予想されたTXも、歩調を合わせるように輸送実績を伸ばす。アキバを目的地としたつくば方面からの利用者が多かったとする見方もある。
 1日平均輸送人員は17年度が15万700人、18年度が19万5300人、19年度が23万4200人と、22年度までに27万人達成という目標に向け順調に推移。秋のダイヤ改正で、1時間当たり最大17本だった朝ラッシュ時の運行本数を最大20本に増やす予定だ。

 ■女の子から男の子になるかも?

 先月発生した通り魔事件の影響は?
 首都圏新都市鉄道は質問に対し、困ったように「事件についてはコメントのしようがない。秋葉原が安心して楽しめる街になってほしい」。街の雰囲気が一変しても毎日変わらず安全・安定運行を続けるのが鉄道の使命。鉄道員らしく「黙して語らず」といったところだろう。
 新たに増備された車両は正面の顔に赤いV字ラインが入り「精悍さが増した」(同社車両課)。そういえば家電量販店「ヨドバシカメラ」がキャラクター化した電車では、JR勢が「山の手くん」「中央くん」と男の子なのに対し、TXはリボンを着けた女の子の「つくばちゃん」。「とくに理由はないと思います」(ヨドバシカメラ広報)と話すが、従来の車両は洗練され都会的ながらも、線の細いイメージがあったようだ。
 たくましさを増した増備車両ならいよいよ男の子の仲間入りをするかも…。「増備車が出ても男の子のキャラクターをつくる予定はありません」(同)とつれない返事だが、この際、もっともっと強面(こわもて)になってアキバの治安維持のために一役買うのもいいかもしれない。

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