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2008年07月20日(日) 13時32分

イラン、核協議で譲歩せず EUとの交渉継続は一致中国新聞

 【ジュネーブ19日共同】国連安全保障理事会の決議に反してイランが核兵器開発にもつながるウラン濃縮活動を続けている問題で、欧州連合(EU)のソラナ共通外交・安全保障上級代表はジュネーブで十九日、外交的解決を目指し、イランの核交渉責任者ジャリリ最高安全保障委員会事務局長と協議した。イランは米欧など六カ国の新たな「包括的見返り案」に対する明確な回答はせず、濃縮停止などの譲歩を示さなかったものの、双方は協議を継続する方針では一致した。

 ソラナ上級代表は「二週間程度の間に明確な回答をもらうことを希望する」と述べ、二週間以内に再びイラン側と接触することを示唆した。

 米政府はイランとの直接交渉拒否の方針を転換、協議に国務省ナンバー3のバーンズ国務次官を派遣して交渉進展を図ったが、狙い通りの譲歩は引き出せなかった。イランが濃縮活動の停止に踏み切らなければ、イラン制裁を強化する方針を示しており、米・イラン間の緊張が再び高まる可能性も残る。

 協議に先立ち、イラン高官は濃縮停止の可能性をあらためて否定。協議には安保理常任理事国とドイツ高官も同席した。

 ソラナ上級代表は六月、濃縮停止を受け入れた場合に得られる経済・外交的利益などを明記した包括的見返り案をイランのモッタキ外相に提示。二年前の案をイラン側が受け入れなかったため、安全保障条項などを加えた。今回の協議で濃縮活動の停止や凍結につながる成果を期待していた。

 イランと一九八○年に断交し「イラン敵視」の外交政策を続けてきた米国にとって、国務省ナンバー3の派遣は極めて異例の判断。また、米国がイランに利益代表部の設置を検討しているとの報道もあり、交渉進展への期待が強まっていた。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200807200165.html