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2008年07月19日(土) 00時25分

<教員採用>31自治体で得点開示せず 毎日新聞調査毎日新聞

 大分県の教員採用汚職事件に絡み、毎日新聞が47都道府県と17政令市にアンケート調査したところ、半分近くの31自治体が受験者本人に得点を開示しておらず、外部や受験者らによる不正のチェックが難しいことが分かった。自治体によって情報公開の範囲などに大きな開きがある実態も浮かんだ。

 アンケートは、教員採用試験を実施する64自治体に(1)第三者によるチェック体制の有無(2)改ざん防止策(3)受験者への情報開示−−など8項目を聞いた。

 「教育公務員特例法により教員採用は教育長が行うこととなっている」(大阪府)との法令などを根拠とし、計46自治体が第三者のチェックを入れる体制になっていないと答えた。残る18のうち15自治体は「面接での民間人起用」を「第三者によるチェック」としていたが、同様に起用する21自治体は「選考作業をチェックする第三者ではない」(高知県)などと位置づけていた。見方の分かれる民間面接官を除くと、大半の自治体は第三者によるチェックが行われていないことになる。

 不正防止については62自治体が「複数の職員で作業するため不正は不可能」「困難」との立場。大阪市は「複数の職員に悪意があれば絶対に不可能とは言えない」とした。

 一方、情報公開で受験者が自己採点し不正の有無を確認するためには、試験問題の正答と自分の得点が必要で、答案原本を閲覧できればさらに容易だが、福岡県と北九州市、長崎県は三つとも非開示。得点などの非開示はほかに28自治体に上った。答案原本を非開示とする自治体もほかに少なくとも七つあった。9自治体は問題の正答すら公表していなかった。

 これらのうち福岡、熊本両県は見直す方針だが、29の自治体では今後も受験者による自己採点や不正チェックが困難な状況が続く。

 ◇教員採用の公開状況(「県」は省略)

 ○受験者の順位そのものを開示

 富山、滋賀、大阪府、奈良、徳島、熊本、沖縄、横浜市、大阪市、堺市

 ○点数、正答、答案原本を開示

 北海道、宮城、山形、愛知、石川、香川、徳島、愛媛、高知、宮崎、沖縄、札幌市、仙台市、さいたま市、横浜市

 ●点数を非開示

 茨城、栃木、群馬、千葉、東京都、新潟、長野(高校採用試験は開示)、山梨、岐阜、三重、福井、大阪府、兵庫、京都府、和歌山、島根、岡山、山口、福岡、長崎、熊本、鹿児島、新潟市、千葉市、川崎市、大阪市、堺市、神戸市、京都市、北九州市、福岡市

 ●正答を非開示

 京都府、奈良、広島、福岡、長崎、熊本、京都市、広島市、北九州市

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