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2008年07月19日(土) 10時00分

【トレンド】脚本家・大石静が描く“アラフォー”ドラマは 大人の『ラスト・フレンズ』になれるか?nikkei TRENDYnet

 春のドラマで話題になった作品といえば『ラスト・フレンズ』(フジテレビ系)と『Around40〜注文の多いオンナたち』(TBS系)の2作品だろう。平均視聴率こそ『CHANGE』や『ごくせん』に及ばなかったものの、『ラスト・フレンズ』はDV(ドメスティックバイオレンス)など若者が抱える悩みを、『Around40』は40歳前後の女性の再就職や恋愛などを描いて注目された。2作品に共通するのは現代人が抱える悩みや心の葛藤(かっとう)をリアルにドラマ化している点だ。夏ドラマで、この2作品をうまくミックスしてヒットするのでは? と期待されているのが『四つの嘘』(テレビ朝日系)。

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 『四つの嘘』は、脚本家・大石静の同名の長編小説を原作とした作品で、ドラマの脚本も大石が担当する。作品に登場する4人の女性はかつての同級生で年齢は41歳。まさに“アラフォー(40歳前後の女性)”世代を主人公にしており、どこの家庭にもある秘密が暴かれる大人の辛口ドラマという。制作発表で大石は「『ラスト・フレンズ』とか、とげのある作品も出てきましたが、最近のテレビドラマは分かりやすくて、安心して見られるものが増えすぎた。脚本家としてこれでいいのかと思って、(脚本を)書きました」と語る。

 物語は、4人の同級生のうちの一人、原詩文(永作博美)の元夫が海外の船舶事故で命を落とすことから始まる。そして、この事故をきっかけに3人の同級生、原詩文、西尾満希子(寺島しのぶ)、灰谷ネリ(高島礼子)が再び集まることに。そして、同じ船舶事故で同級生の戸倉美波(羽田美智子)も死亡していることが明らかになる——。7月10日放送された1話目のストーリーはこんな具合だ。正直なところ、原作本を読んでいない限り、次の展開は読めない。制作発表で永作博美は「連続して見ていただけるようになればうれしい」と話しており、まさにそんな内容になりそうだ。

 『ラスト・フレンズ』や『Around40』は、1話目をピークに視聴率が下がり続けるようなことはなかった。それどころか『ラスト・フレンズ』は後半になればなるほど視聴率を上げていたくらいだ。両作品とも1話完結型のドラマではないので、多くの視聴者が次回放送を楽しみにしていた証だ。『四つの嘘』の初回視聴率は11.8%だったが、大石の脚本が次回を楽しみにさせる内容になり、“アラフォー”世代をしっかり取り込めれば『ラスト・フレンズ』のように視聴率を上げていくことも可能だろう。

 加えて、永作博美の年齢を感じさせない魅力が、普段ドラマを見ないアラフォー世代の男性視聴者を引き付ける可能性もある。映画『人のセックスを笑うな』と同様に、このドラマでも年下の男性を恋人に持つ役柄で、“魔性”の女ぶりを好演している。また「これまで、どちらかというとダークな女性の役が多かった」と話す寺島しのぶが演じる普通の主婦、西尾満希子もコミカルで楽しい。子供の視聴者に期待しない大人の辛口ドラマが視聴率を獲得するか見ものだ。

(文/渡貫幹彦=日経トレンディネット)

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