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2008年07月19日(土) 10時00分

【トレンド】進化した縦横WオープンのVIERAケータイ「P906i」nikkei TRENDYnet

 パナソニック・モバイルコミュニケーションズ製のFOMA端末「P906i」は、縦にも横にも開く“Wオープンスタイル”のVIERAケータイとして人気を博した「P905i」の後継モデルだ。P906iでは、大画面で見やすいワンセグと高画質な510万画素カメラ、ワイドVGAの高画質量3Dゲーム対応といった特徴はそのままに、画面サイズの拡大や薄型化、キーの操作性改善といった着実な改良が行われている。このレビューでは、前機種P905iとの比較も交えつつ、P906iについて解説していく。

【詳細画像または表】

ハイエンド機能はそのままに、より薄くより使いやすく

 機能・スペック面は前機種P905iに引き続いて、これでもかというぐらいの多機能、高性能だ。縦にも横にも開くWオープン構造の3.1インチフルワイドVGA(480×854ピクセル)液晶に、ワンセグ、510万画素オートフォーカスカメラ、W-CDMA/GSM両方式に対応した国際ローミング、おサイフケータイ、GPSナビゲーション、大容量ゲーム、Bluetoothといった機能を搭載。特に、高品質なワンセグやカメラ機能を簡単な操作で利用できる点が魅力だ。

 これだけ高機能にもかかわらず、厚さは前機種P905iよりさらに1.1mm薄い17.4mm、重さも14g軽い123gを実現。さらに、ディスプレイサイズが3インチから3.1インチに拡大、ワンセグアンテナも内蔵型となり扱いやすくなった。P905iと比べ、見た目以上にハードウェアの完成度は向上している。

 ダイヤルキーも全体的に大きくなり、より押しやすい形状となった。特に方向キーは、大型化に加え、キーの内側に向けて緩やかな角度を付けることで押しやすさが向上している。

VIERA技術でさらに画質向上した横画面ワンセグ

 ワンセグを視聴するなら、Wオープンスタイルで画面を横に開くとより快適だ。3.1インチの大画面いっぱいに番組を表示できるうえ、端末を机の上に置いたままでも画面が見やすい。液晶の表示品質についても、コントラストが前機種P905iの2000:1から4000:1に向上したほか、ワンセグの15fps映像を30fpsに補完する「モバイルWスピード」に対応。スポーツ中継などの素早い動きのあるシーンでは、映像がやや滑らかに表示される効果を感じられた。

 また、ワンセグ用アンテナを内蔵することで、ワンセグを起動するたびにアンテナを引き出す、または収納するという手間がなくなった。伸ばしたアンテナを邪魔に感じることもなくなり、ワンセグをより気軽にストレスなく利用できる。

 アンテナを内蔵することで「ワンセグの受信感度が悪くなったのでは?」と思う人もいるだろう。だが、2つの内蔵ワンセグアンテナと、合成ダイバーシティチューナーの効果のためか、受信感度は前機種P905iと同等、もしくは若干P906iの方が良いという印象を受けた。P905iも元々ワンセグの表示品質や受信感度が優れた端末だっただけに、さらに液晶の品質とアンテナ性能を向上したP906iは、ハイエンドなワンセグ携帯電話としての地位をより盤石にしたといえる。

 ワンセグの品質だけでなく、Wオープンスタイルで横開きしたときの操作性も改善された。P905iでは横開きを行うと強制的にワンセグが起動する。そのため、録画したワンセグを見たり、横画面用iアプリを利用するためにうっかり横開きすると、いちいちワンセグを終了しなければならず面倒だった。そのうえ、ワンセグ以外の横画面に対応した機能を利用する場合、端末を縦に開いて機能を起動したのち、端末横に開く手間が必要だった。

 だが、P906iでは新たに横開き専用のメニューが用意された。これにより、録画したワンセグの視聴や横画面対応iアプリの起動など、横開きで使いたい機能をスムーズに起動できる。もちろん、端末を横開きした直後のメニューカーソルはワンセグに当たっているので、画面を横に開いてセンターキーを押せば、すぐにワンセグを起動できる。

 このほか、横画面でワンセグを視聴中にメールが届くと、テロップで着信通知が行われるようになった。前機種のP905iでは、ワンセグ視聴中にメールが届くとワンセグの表示が中断されメール受信画面へ切り替わっていただけに嬉しい改善点だ。

Wオープン対応の横メニュー搭載で、ビューワー機能が強化

 横画面メニューから起動できる、ワンセグ以外の機能をもう少し見ていこう。P906iの横画面表示に対応する機能は、ワンセグ以外にもiアプリやフルブラウザ、動画や写真の再生などがある。これらの機能は、P906iを横開きすると表示される、横画面用のメニュー画面から簡単に起動できる。

 ただ、全ての機能が完璧に横画面へ対応しているというわけでもないようだ。たとえば、横メニューから起動できるiアプリは、事前に設定した一種類だけだ。起動したいiアプリは、事前に縦画面のiアプリリストで指定しておく必要がある。また、データBOXでの写真表示でも、5M(2592×1944ピクセル)サイズで撮影した画像を横画面で開くと、なぜか縦向きに小さく表示されてしまう。自動的に横向きで表示する機能か、画像を回転表示する機能がほしいところだ。

 プリインストールされている横画面対応iアプリだが、GPSナビゲーションの「地図アプリ」だけでなく、高画質なゲームアプリ「機GUNDAM U.C.0079」と「レイトン教授と不思議な町」も用意されている。

 特にGUNDAM U.C.0079は、携帯ゲーム機並みに美しい3DCG表示を実現。ガンダムとザクの滑らかなハイスピードバトルを楽しめる。携帯電話で動作する、高画質かつハイスピードな3Dゲームは新鮮なだけに、ガンダムファンでなくとも一度は起動してみることをお勧めする。

 有料の完全版では、一年戦争でお馴染みのモビルスーツが登場するストーリーモードを遊べるだけでなく、ストーリー映像やBGM、声優のボイスも追加される。ガンダムファンなら完全版を購入するのもいいだろう(とはいえ、「ガンダム公式ゲーム(情報料315円/月)」に入会したうえで、情報料1050円が必要と高額だが)。

顔検出対応!510万画素の高画質カメラはさらにパワーアップ

 カメラはオートフォーカス対応の510万画素CMOSを搭載。最大撮影サイズは2592×1944ピクセルで、6軸手ぶれ補正に対応。基本的なスペックは、カメラの画質評価が高かったP905iのものを引き継いでいる。P906iではさらに、最近のトレンドとなっている顔検出機能「顔オートフォーカス」と「オート露出」に対応。被写体が人物の場合、最大5人までの顔を自動的に検出し、人の顔が綺麗に写るよう最適なピントと露出で撮影してくれる。特に、逆光条件下で人を撮影するときに便利な機能だ。

 撮影画質だが、オート撮影のままでも、携帯電話でもトップクラスの解像力とスッキリとした鮮やかな色合いで、満足度の高い写真を高確率で撮影できる。酒場など照明が薄暗い店内においても手ブレしづらく、ノイズも比較的抑えられている。カメラの撮影画像をPCで扱う人はもちろん、撮影した画像をメールでの写真交換や待ち受け画面に使う人、どちらも満足できる品質だ。

 ただし、P906i最大の弱点もカメラにある。P906iではP905iで搭載していたフォトライトが省かれてしまった。フォトライト無しでも元々暗所撮影は強いだけに、明るい被写体を含む夜景や、酒場など薄暗い照明下での撮影は比較的良好なのだが、周囲に照明が全く無い暗闇での撮影能力は落ちてしまった。普段の生活シーンにおいて、暗闇で撮影することはそれほど無いと思うが、人によっては気になる点だろう。

 動画撮影はコンティニュアスAFに対応、VGAサイズ(640×480ピクセル)で撮影できる。撮影中でも一般的なビデオカメラのように、オートフォーカスが自動で動くため、撮影中にカメラを動かしてもシャープさが損なわれない。ノイズは少なめでよほどカメラを動かさない限り、十分に鑑賞に堪える画質で撮影できた。なお、VGAで動画をmicroSDへ長時間録画する場合はASF形式で録画される。この動画をWindowsXPなどで再生するにはG.726コーデックが必要となる。

アイコンメニューもフルワイドVGAの高繊細表示に対応

 操作画面はフルワイドVGA(854×480ピクセル)液晶を活かした、美しい画像や文字フォントで表示される。前機種P905iではアイコンメニューの表示が拡大処理によって少々ぼやけていたが、P906iではフルワイドVGAに対応した美しいアイコンメニューを利用できるようになった。

 メニュー構成やデザインはこれまでのパナソニック製端末とほぼ変わりない。良く言えば従来ユーザーが安心して利用できるのだが、メールのインライン入力対応やiアプリの独立した音量設定、複雑なサブメニューといった不満点は改善されていない。

高品質・高性能を簡単に利用できる、万人向けハイスペックケータイ

 P906iでも搭載したWオープンの利点は、横に開けばワンセグ、立てに開けばケータイという、わかりやすさと使いやすさの両立にある。カメラもシャッターキーを押すだけで高画質、被写体が人物なら顔が綺麗に写るように自動撮影され、ユーザーは何も考える必要がない。ある便利な機能を使うには「カスタマイズして操作方法を覚えて〜」といった複雑な携帯電話と違い、シンプルな操作で高品質な結果を利用できる。

 とはいえ、横画面を使った3DゲームアプリやBluetooth、動画再生機能などヘビーユーザー向けの機能も搭載されている。細かい操作性ではいくらか気になる点があるものの、とにかく大画面ワンセグと高画質カメラが欲しいユーザーから、様々な機能をマニアックに使いこなしたいヘビーユーザーまで、多くの人にお勧めできるハイエンドケータイだ。

 店頭で併売されているP905iと比べた場合だが、P906iではワンセグアンテナの内蔵やキーの押しやすさ改善、ソフトウェアの操作性向上などスペックには現れづらい使い勝手の改善が見られる。店頭での価格差が数千円単位であるなら、ぜひP906iの購入をお勧めしたい。

著 者

島 徹(しま とおる)

 携帯電話の使いづらさにへきえきし、ケータイ情報サイト「sureare.com」を運営したり、2ch携帯・PHS板に張り付いていたところ、某コンテンツプロバイダー社長に捕まり神保町界隈へ放り込まれる。現在、日経エンタテインメント!、週刊アスキーの連載など、ケータイ・モバイル関連のライターとして活動中。



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