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2008年07月19日(土) 10時00分

【トレンド】不安解消! 失敗しない「iPhone 3G」の動かし方nikkei TRENDYnet

 iPhone発売初日の2008年7月11日は、1000人を超える人が並んだソフトバンクショップ表参道をはじめ、様々な携帯電話ショップや量販店で多くの人が行列を成してiPhoneを買い求める姿がテレビやニュースサイトをにぎわせた。

【詳細画像または表】

 16GBモデルの品切れが相次ぐ一方で、今でも8GBモデルが購入できる店舗もあるようなので、今すぐiPhoneが欲しい人は取り扱い店舗に問い合わせてみるとよいだろう。

iPhoneを買うなら時間の取れる休日にすべき!

 そういうわけで、筆者も並んで16GB ブラックモデルを購入してきた。だが買ってきてiPhoneを使い始めるまでの手続きが日本の携帯電話とは全く異なる。これまでのiPod touch環境を楽に移行できた筆者も、携帯電話としての設定作業には1〜2時間もかかってしまった。

 特に注意しなければならないのは、購入直後のiPhoneには「電話機能ロック」がかかっており、通話すらできないという点だ。これを解除(アクティベーション)するには、iPhoneを購入後72時間以内に、最新のiTunesがインストールされたPCまたはMacに繋ぐ必要がある。購入店舗によっては、店舗で解除してくれるケースもあるようだが、確実に行ってくれるとは断言できない。これ以外にもAppleIDの登録や電話帳の移行、メール設定などユーザーが行う作業は大量にある。

 この記事ではこれからiPhoneを買う人、iPhoneを買ってきた人が注意すべき、買う前・買った後に何をすべきかという点について、箱からiPhoneを出して動かすまでのレポートを含め紹介する。

 もしiPhoneを購入しようと考えているなら、なるべくiPhone購入後の作業内容を頭に入れた上で、自宅のPCやMacと格闘する時間が取れる休日など、余裕のある日に購入しよう。

 iPhoneという携帯電話は普通の携帯電話と違い、買った直後から仕事やプライベートで使える代物ではないのだ。

iPhoneを動かすのに必要なPC/Mac環境+iTunesはそろってる?

 iPhoneを買って利用するために絶対に必要なのが最新のiTunes(7.7以降)が動作するPCまたはMacだ。この環境がないとiPhone購入直後に必要な電話機能ロックの解除はもちろん、iPod機能やアプリなどiPhoneで利用できる機能の殆どが使えないままとなる。

 iPhone購入後にiTunes(7.7以降)のインストールができないことが判明した場合、iPhoneの電話機能ロック解除が行えず、緊急電話(110番)しか利用できないという状況に陥ってしまう。OSのアップグレードや再インストール、最悪PCやMacの購入となると確実に半日以上はiPhoneが使えなくなる。そうならないためには、必ずiPhone購入前に最新のiTunes(7.7以降)を利用できる環境を構築しておこう。

 では、iPhoneを購入する前に、自宅のWindowsまたはMac環境を確認した上で最新のiTunesを導入しよう。現時点でiPhoneを利用するのに必要なWindows、Mac環境は以下の通り。

 特にMacでのiPhone利用環境はiTunes7.7以降の動作環境よりも厳しい。iTunes7.7が動作するからといってiPhoneも利用できるというわけではないので注意が必要だ。

iPhone動作環境 Windows:Windows VistaまたはWindows XP Service Pack2以降 Mac:Mac OS X 10.4.10以降(Tiger、Leopard以降)

 動作環境が満たされていることを確認したら、iTunes7.7以降をインストールしよう。iTunes7.7はiPhone発売の7月11日に公開されたため、iTunesはインストールしていても、iTunes7.7はまだ導入していないという人は多いだろう。AppleのサイトからダウンロードしてインストールするかiTunesの「ヘルプ」→「更新ファイルの確認」からアップロードする。

Download iTunes http://www.apple.com/jp/itunes/download/

iPhoneを買ってきた!まずはSIMの挿入から

 iPhoneを買ってきたらセットアップ作業が始まる。その前に購入時に付属してきた物を並べてみる。

 すぐに必要なのはiPhoneと電話番号の入ったSIMカードだ。では、箱を開けてみよう。

 箱の中身で重要なのが、中段に入っている紙ケースだ。これを表側からきれいに開くと、銀色のクリップのようなピンが、紙ケースに挟まっているのが分かるだろう。これが「SIMカードツール」だ。これを使ってiPhoneにSIMカードを挿入しないと、iPhoneで携帯電話としての通話や通信を利用できない(逆に電話機能ロック解除後であれば、SIMの無い状態でもiPod touch相当の機能を利用できる)。

 では、SIMカードをiPhoneに挿入しよう。

 SIMカードツールの先端をiPhoneの上部、ヘッドホン端子の隣にある小さい穴に差し込むと、SIMカードを固定する台状のパーツが飛び出るので引き抜こう。

 次に、台状のパーツの凹部へSIMカードがピッタリとはまるようSIMカードを載せ、再度iPhoneに挿入する。手を滑らせて、SIMカードだけが iPhoneの中に入ってしまわないよう気をつけよう。挿入が完了すれば、次に行う電話機能ロックの解除後から、ソフトバンクの回線を使った通話や通信を行えるようになる。

iPhoneとiTunesを接続してようやくiPhoneを利用可能に

 iPhoneにSIMカードを差し込み終わったら、事前に用意したiTunes7.7インストール済みのPCまたはMacへiPhoneを接続しよう。iPhoneのパッケージ底にある「DockコネクタUSBケーブル」で、iPhoneとPCまたはMacのUSB端子を接続すればいい。接続すると自動的にiTunesが起動し、デバイスの設定画面へ移行する。

 デバイスの設定画面では、iPhoneのユーザー登録と、iTunes Storeアカウントの設定を行う。この画面が表示されると同時に「お使いのiPhone用のキャリア設定の更新が利用できます」と表示されるので、「ダウンロードして更新」を選んだ後、画面の案内どおりに設定を進めていこう。iPhoneのユーザー登録が終われば、iPhoneの通話をはじめとする全機能を利用できる状態となる。

 次に、iTunesアカウントを登録するよう促される。これを登録することで、iPhone上からもiTunes StoreやApple Storeで楽曲やアプリの購入が可能となるのだ。既にApple StoreやiTunes Storeでアップル関連機器やiTunesの楽曲を購入するためのAppleIDを持っているなら、AppleIDとパスワードを入力するだけでいい。もしiTunes Storeアカウントを持っていないなら、クレジットカード片手に新規登録を行おう。

 AppleIDの登録後、MobileMeの 60日無料体験案内が表示される。MobileMeとは、自動受信対応のメールアドレスや、ネットワーク経由でPIM情報を同期する機能、インターネット上のディスクスペース機能などを提供するサービスだ。

 だが、筆者がiPhone発売当日にこの画面を操作したところ、MobileMeの英語版ガイドのサイトが表示されてしまった。日本語版のMobileMe紹介サイトはこちら。MobileMeの利用開始、無料体験登録は「http://me.com/」から行える。

 ただ、MobileMeの登録や利用開始は後からできるので、ひとまず既存の携帯電話で利用しているアドレス帳を移行しておこう。

携帯電話のアドレス帳をiPhoneへ移行しよう

 iPhoneは一般的なスマートフォンと同じく、PCやMacのアプリケーションやMobileMeと、アドレス帳やカレンダーの予定表、ブックマーク情報を同期できる。 Windows環境の場合、すでにOutlook2007/2003でアカウント情報を管理しているのなら、iPhoneと簡単にアドレス帳、カレンダー、メールアカウントの設定を一括同期でき便利だ。

 ただし、これまでOutlookなどを利用しておらず、一般的な携帯電話のアドレス帳情報を、iPhoneに登録したい人も多いだろう。そういう人のために、ソフトバンクでは電話帳移行サポート(i)というサービスを提供している。

 これは、iPhone購入時に店頭で以前使っていた携帯電話のアドレス帳をサーバー上にコピーし、自宅で.csvファイルとしてダウンロードできるサービスだ。この.csvファイルをWindowsの標準アプリケーション「アドレス帳」にインポートし、iTunesのアドレス帳同期アプリケーションを「Windowsアドレスブック」に指定することで、インポートしたアドレス帳をiPhoneに転送できる。詳しい利用方法は、「電話帳移行サポート(i)」のサイトから確認してほしい。ダウンロードに必要なパスワードはiPhoneのSMSへ送信されている。

 ただし、ソフトバンクの用意するこの方法では、アドレス帳のフリガナ情報を移行できない。そのためiPhoneで「連絡帳」を開くと、名前が漢字のものがアイウエオ順にソートされなくなってしまう。もしアイウエオ順にソートしたい場合は手動でフリガナを入力しなければならない。

 これでは不便なので、次に元の携帯電話のアドレス帳の情報をフリガナ込みでiPhoneへ転送する方法を紹介する。

フリガナを付けたままアドレス帳をiPhoneに転送する方法

 携帯電話のアドレス帳をフリガナ込みでiPhoneへ転送する際に必要なものは、iPhone購入時にショップで渡されるソフトバンクの携帯電話メモリーコピーソフト「携帯メモタツ」と、以前の携帯電話とPCを接続するUSB通信ケーブル、そしてOutlook 2007または2003だ。

 これらを持っていない場合でも、メモリーコピーソフトは携帯電話キャリアやメーカーがWebサイトで配布しているほか、携帯電話に付属するCDに収録されている。携帯電話とPC接続するUSB通信ケーブルは1000円程度で購入可能だ。Outlook 2007は高額だが、マイクロソフトのサイトで60日間試用できる、2007 Office system 試用版がダウンロード可能だ。購入を考えているなら、一度試しに利用してみるといいだろう。

 実際の転送方法だが、まず以前の携帯電話をWindowsで認識させるためのドライバを、携帯電話メーカーかキャリアのWebサイトからダウンロードし、インストールする。その後で、「携帯メモタツ」などのメモリーコピーソフトをインストールし起動、携帯電話からアドレス帳を読み込んだ後、.csvファイルにエクスポートする。

 次に、Outlook2007または2003で、以前の携帯電話から取り込んだ.csvファイルをインポートする。Outlook2007なら「ファイル」→「インポートとエクスポート」→「他のプログラムまたはファイルからのインポート」→「テキストファイル(Windows、カンマ区切り)」を選び.csvファイルを指定。インポート先のフォルダに連絡先を指定し、「フィールドの一致」ボタンから各情報を対応させる。名前は姓、フリガナは姓フリガナに対応させよう。

新着通知対応の「Eメール(i)」を利用可能にしよう

 最後にソフトバンクの提供する着信通知対応のメールアドレス「Eメール(i)」の設定を行おう。

 これはソフトバンクとのiPhone契約時に必ず付いてくる、iPhoneやPC用のメールアドレスだ。このため、ドメイン名も「xxxxxx@i.softbank.jp」と、通常のソフトバンク携帯電話とは異なる。このメールアドレスには一つ特徴があり、このメールアドレスにメールが送られてくると、iPhoneにリアルタイムでメール着信通知が表示されるのだ。この機能は、ほかのメールアドレスでは利用できないEメール(i)専用機能となっている。

 注意点として、Eメール(i)はソフトバンクの提供するメールアドレスだが、一般の携帯電話利用者が“携帯電話・PHSからの送信されたEメールしか受信しない迷惑メールフィルター”を利用している場合、Eメール(i)で送ったメールは相手に届かない。これは、Eメール(i)がiPhone専用ではなく、PCメールソフトでも送受信が可能なPC用メールのためだ。様々な人の一般の携帯電話とメールをやり取りしたいなら、iPhoneではなく一般の携帯電話同士で行うのが無難だ。

 「Eメール(i)」の設定に必要なメールアドレスやメールID、パスワード、接続先サーバーは店頭で渡されるほか、iPhoneへSMSで送信される。だが、初期状態のメールアドレスはランダムな文字列となっているので、まずは好みのメールアドレスに変更ししよう。メールアドレスの変更は、iPhoneのSafariのブックマークに最初から登録されている「My SoftBank」から行える。

 メールアドレスを変更するだけなら、My SoftBankのメニューサイトから「@」ボタンを選択。次のページで、ログインIDにSMSや書面で渡された「メールID」、パスワードに「メールパスワード」を入力してログインする。

 ログインすると、メールアドレスとパスワードの変更を行える。なお、メールアドレスは一度変更すると30日間変更できないので注意が必要だ。

 メールアドレスが決まったら、これを元にiPhoneの「設定」→「メール」→「アカウントの追加」→「その他」からメールアドレスとパスワードを入力し保存する。設定にやや時間がかかるがこれで「Eメール(i)」が利用可能となる。登録時に「SSLで接続できません」と2回表示されるがこれは「はい」を選択しよう。

 以上がiPhoneを購入してから利用するまでの一通りの流れだ。かなり時間がかかるので、特に機種変更やナンバーポータビリティでiPhoneを購入する人は、あまり電話がかかってこない日時にiPhoneを購入し、素早く設定してしまうことをお勧めする。

 一度利用環境を整えてしまえばiPhoneの快適な環境が手に入る。アドレス帳の移行やメールの設定は慣れないと面倒だが、頑張ってほしい。

携帯電話ならでは?iPhone付属の周辺機器は優れものがそろう

 最後に、SIMカードツール以外の付属品について紹介しておく。

 まず「Apple iPhone マイク付きステレオヘッドフォン」だが、これは通常のiPodに付属するステレオヘッドフォンと違い、右耳がわのケーブルに通話用のマイクとスイッチが内蔵されている。

 iPhoneでは、マイク付きヘッドフォンやBluetoothヘッドセットを活用する事で、通話中にメールやWebサイトを閲覧できるなど、様々な操作を行える。これらマイク付きヘッドフォンをしっかり活用すれば、通話中に調べた情報で効率的に会話を進められるだけでなく、iPhoneを顔にひっつけて通話する必要もなくなる。スムーズにマイク付きヘッドホンを活用できるよう、使い勝手に慣れておこう。

 スイッチ機能は通話の着信や切断に加えて、iPodの再生、停止を行える。iPod以外の機能を利用中でもバックグラウンドで再生・停止が行われるので、メール作成やブラウジングなどの作業を中断せず音楽を聴きたいときに便利だ。

 「Apple DockコネクタUSBケーブル」はiPodファンにはお馴染みの付属品だろう。PCやMacとの同期と充電を同時に行えるiPod・iPhone用のUSBケーブルだ。このUSBケーブルへ「Apple USB 電源アダプタ」を接続する事でコンセントからもiPhoneを充電できる。

 iPhoneはiPodと違って常に携帯電話として電力を消費するだけに、毎日に近い定期的な充電が必要だ。このため、iPodではUSBでしか充電しなかった人も、iPhoneではPCやMac無しにコンセントから充電できる「Apple USB 電源アダプタ」を常用することになるだろう。

 実際にバッテリーを使い切ったiPhoneを電源アダプターでコンセントから充電したところ、約1時間で80%程度の充電が完了。約2時間で満充電となった。比較としてUSBでの充電を行ったが、こちらは約2時間で80%程度、約2時間半で満充電となった。コンセントを使った方が高速に充電できるようだ。



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