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2008年07月18日(金) 11時34分

14歳の少年は、なぜ高速バスを乗っ取ったのか?オーマイニュース

 7月16日、愛知県内の東名高速道路を東京に向かって走っていた高速バスが乗っ取られました。バスは岡崎市内の美合(みあい)パーキングエリアに緊急停車、そこで逮捕された実行犯は、なんと私の地元、山口県内から家出した、14歳の男子中学生だったのです。

 彼が法的に少年でありながら、白昼高速バスを乗っ取ると言う大胆な犯罪に打って出た理由は、中学生らしいと言えば中学生らしいとも言えるものでした。

 今回逮捕された少年は山口県宇部市に住み、市内の中学校に通っています。中学校では自ら学級委員長を買って出るなど、まじめで積極的な性格と報じられています。にもかかわらず、今回バスの乗っ取りにまで駆り立てる出来事が起きてしまった理由が、私にはさっぱり理解できませんでした。

 当日夜7時ごろから、宇部市教育委員会が記者会見を行っています。その中で、乗っ取りのきっかけのひとつとして、「男女交際に関する問題を抱えていた」との認識を示していたのです。これがある意味謎解きの鍵になるかと思います。

 実はこの少年、同級生の女子生徒との交際を巡って問題を起こし、で相手方の両親から学校側に相談が持ちかけられていたそうです。事件の数日前には、この件について警告するため、少年の自宅に担任の先生と教務主任の先生がやって来たと言います。

 さらに少年は、「10万円を借りたい」などと友人に話していたそうです。どうして10万円が必要だったのか、私には理解できません。

 今週の月曜日、少年のこうした問題について、両親が「死んでしまえ」「児童相談所に連れて行くぞ」などと罵倒(ばとう)、少年の家出が始まります。

 少年がバスの乗っ取りを思いついたのは、事件前に滞在していた名古屋市内のホテル。実はそこまでの道のりも、私には理解できないものでした。

 宇部市内から名古屋市内に入るためには、本来であれば「宇部線や山陽本線で新山口駅に向かい、山陽・東海道新幹線に乗り換える」と言うコースを使うはずです。直行できる空路や高速バスがないからです。

 しかし少年は、わざわざ小倉駅から新幹線で名古屋に東上しています。確かに小倉には「のぞみ」などが多く止まりますが、下関方面の利用客でない限り、地元の人でもこのルートは使わないでしょう。

 同級生らの目を避けるためとも考えられますが、私からすれば、少年がこうしたルートを使ったことに道理はないと思いました。

 少年を逮捕した愛知県警は、バスの乗っ取りを「計画的」と見ていますが、一瞬のひらめきで計画的なバスの乗っ取りができるとは思えません。私から言わせてもらうなら、少年は過去のバスジャック事件の報道に接し、両親を見返すため、衝動的に乗っ取りを思いついたのではないかと考えています。

 少年が乗客に危害を加える意志を持たず、実際にけが人がいなかったことにはほっとしていますが、なんとも理解に苦しむ少年です。

 少年の起こした事件によって、夏休み前の宇部市内の中学生はどんな心理状態にあるのでしょうか? そして、少年はどんな裁きを受けるのでしょうか? どうにも今後が気になる事件です。

(記者:河村 崇)

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