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2008年07月18日(金) 15時50分

【漫画】後手後手の小学館ツカサネット新聞

週刊青年漫画誌であるヤングサンデー誌(以下ヤンサン)の休刊の報がインターネット上を駆け抜けて久しいが、遂に先週の誌面で正式に休刊がグラスノスチされた。

正式な発表がなされていたものの、あまりインターネットなどで情報を仕入れないお父さん世代で、通勤のお供としてヤンサンを愛読されていた方もおられるだろうから、正に青天の霹靂としてその報を受け止めた読者の方もおられるに違いない。何せ、そんな情報が遂に掲載された、その31号の表紙に被せられた煽り文が、「この勢いは止められない!!」なのだから、皮肉にしては利きすぎではないだろうか。


そんな中、アニメ化が決まった看板連載の一でもある、『鉄腕バーディー』を執筆しているゆうきまさみが、公式サイトの日記を更新し、『鉄腕バーディー』の続行を力強く宣言した。その文章を一部引用する。


以下引用部分

 そんな中、本当にありがたいことに、「『鉄腕バーディー』はどうなるの?」というお問い合わせを多数いただいています。
 僕も「どうなるんだろう?」と思ってたんですが、「『どうなるんだろう?』じゃねえよ。俺がどうしたいかだろう」と考え直しまして(しっかりしろ俺)、こんなことで終わるつもりは毛頭ありませんから全力で続行方法を検討中です。おそらくそれほど間を措かずにお知らせできると思いますが、読者の方にはご心配をおかけして申し訳ありません。安心していただけるよう頑張ります。

以上引用部分


小学館は、現在の連載陣の去就については、今月31日に発売される35号と、そのタイミングに合わせた、公式サイトで情報を開示するとしているが、既に移籍先が決まっているかはともかくとして、移籍する作品と、休刊とタイミングを合わせて最終回を迎える作品の選り分けは済んでいるはずだ。

しかし、この小学館のスタンスはいかにももどかしい。ゆうきまさみとしても、正にそれを歯がゆく思い、作品の続行だけはファンに約束してしまいたいと、このような日記を書くに至ったに違いない。いみじくもその日記で、ゆうきはこうも書いている。


以下引用部分

 皆さんご存知のように「週刊ヤングサンデー」の休刊が決まってしまいました。おそらく「高度な経営的判断」が働いたのであろうと思いますが、僕が話を聞いたのが5月の10日過ぎですから、もういかんともしがたい状況でありました。これが1年前に持ち上がった話で、編集部から「赤字減らしに御協力ください」と頼まれたのなら、自分に何ができて何ができないかを考えもしたでしょうが、結局そういうチャンスはなかったわけです。なんか以前にサンデーで打ち切り食らったときより悔しいね(笑)。これだけやってれば雑誌に対する愛着も出てきますからね、正直言って腹は立ててますよ俺。

以上引用部分


まったくもって、その通りだと思うが、しかしそれを抜きにしても、アニメ化というのは、場合によってはそれを契機に単行本の発行部数の桁を1つ増やしてしまうほどの力を持った、正に出版社としても勝負どころのタイミングであるというのに、このような遅々とした歩みで果たしてよいのだろうか。

せめて『鉄腕バーディー』だけでも、早めに移籍先を発表し、移籍先の雑誌でもこれまでのあらすじなどをおさらいする特集記事を掲載するなどして、出来る限りスムーズに移籍させるための手を打っておくことが、アニメ化における収益を最大限に確保するための努力であり、ひいてはそのような経営努力の積み重ねが、曲がりなりにも20万部出ていた雑誌を潰さずに済む体力を会社に身につけることになると思うのだが、どうだろう。

もちろん、『鉄腕バーディー』だけを先に特例のように移籍先を発表するというのは、他の連載作家に対して仁義に欠ける行為だが、それならそれで、そのタイミングに合わせて、他の作家の去就も決めてしまえば良いだけのことではないか。

そうすることで、せめて打ち切りとなる作品の作家は、次の仕事に向けての営業活動をする時間を多くとることが出来るし、残酷な話ではあるが、終わることを知らされるのであれば、いかな打ち切りとはいえ、作家たるもの出来る限り整合性のとれた美しい最終回にしたいと思うものなのだから、それが早ければ早いほど、結局は作家本人にとってもそれは良いことであると言えるのではないだろうか?


とにもかくにも、そういった不手際の積み重ねで、ヤングサンデー誌がその歴史に幕を閉じることになるのか——と、雑誌こそ違えど、『金色のガッシュ!』の雷句誠氏に訴訟を起こされた件といい、一漫画好きとして、心から、「大丈夫かよ、小学館!?」と思わずにはいられない。

せめて、この休刊で職を失うことになる作家に対するフォローだけはしっかりしていただきたいものであるが、そこまで期待してよいものだろうか……。

(記者:ハセガワ)

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